モロッコの“黄色い街”フェズにある革製品の工場、それが革なめし職人地区です。そこはモロッコの名産品に使用される素材を生み出す職人街で、漢の中の漢たちが汗を流し働く“色染めの都”……伝統的な製法を色濃く残している観光スポットです。
今回はモロッコにある革なめし職人地区の観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ海外旅行の計画にお役立てください。

革なめし職人地区は動物の“皮”から“革”を作り出す職人町!



この記事では「モロッコにある革なめし職人地区の観光情報」「タンネリショワラの見どころ」をまとめるよ!
1.革なめし職人地区の概要


まずは革なめし職人地区の概要を見ていきましょう。
- 国:モロッコ
- 地域:フェズ
- 特徴:工場
- 目玉:タンネリショワラ
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
革なめし職人地区はモロッコの名産品である革製品の素材を作る工場で、色染め職人たちが暮らす職人街として知られています。迷宮都市として知られるフェズの一角に突如として広がる無数の染色桶は、言うなれば“絵の具のパレット”……そこは職人たちの汗と血と涙が染み込んだ観光スポットです。
職人町が形成されたのは11世紀頃のこと。当時からの製法を守り続けているのがこの場所の特徴。
その後はフェズを代表する観光名所となったものの、伝統的な製法がゆえに発生する悪臭にも似た匂いが漂うことから、鼻の穴にミントの葉を詰めた旅人が訪れる場所としても著名です。現地はなめし革工場を意味する「タンネリ」、地名を意味する「ショワラ」からタンネリショワラと呼ばれ、昔ながらのやり方を今に伝える場所となっています。
ちなみに、モロッコにはショワラ以外にもタンネリが点在しており、現代でもバブーシュをはじめバッグやベルトに使用する革製品を製造中。動物の皮を染色液で染めて革製品にするという伝統的な製法を守っている様子は、日本では決して見られない貴重なものと言えるでしょう。



モロッコを訪れるなら革なめし職人地区は外せないね!



カサブランカを拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.革なめし職人地区の観光情報


次に革なめし職人地区の観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:15万円~45万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額はモロッコ旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料はかかりません。
2-2.時間
- 営業時間:24時間
- 所要時間:30分~1時間
- 必要期間:7日~15日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:モロッコ/フェズ
- 住所:Rue chouara, Fes, Morocco
- 行き方:電車/バス/タクシー/レンタカー/ツアー
- 電車:3時間30分~4時間
- バス:4時間30分~5時間
- タクシー:3時間~3時間30分
- レンタカー:3時間~3時間30分
- タクシー:10分~20分
- レンタカー:10分~20分
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「カサブランカ⇒革なめし職人地区」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら飛行機もしくは現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:寒くて晴れやすい気候
- 4月~6月:やや暑くて晴れやすい気候
- 7月~9月:暑くて晴れやすい気候
- 10月~12月:やや寒くて晴れやすい気候
- ベストシーズン:3月~5月/10月~11月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 17℃ | 5℃ | 80mm |
2月 | 18℃ | 6℃ | 75mm |
3月 | 21℃ | 8℃ | 65mm |
4月 | 23℃ | 9℃ | 55mm |
5月 | 27℃ | 12℃ | 35mm |
6月 | 31℃ | 16℃ | 10mm |
7月 | 36℃ | 19℃ | 5mm |
8月 | 36℃ | 19℃ | 5mm |
9月 | 32℃ | 17℃ | 20mm |
10月 | 27℃ | 14℃ | 50mm |
11月 | 21℃ | 9℃ | 85mm |
12月 | 18℃ | 6℃ | 85mm |
2-5.服装
- 1月~3月:厚手の服装
- 4月~6月:体温調節できる服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:歩きやすい靴
2-6.治安
- やや悪い
モロッコは総じて治安が悪く、旅の拠点となるカサブランカも治安不良です。
2-7.注意点
- 拠点からの立地
- 街中での迷子
2-7-1.拠点からの立地
革なめし職人地区は日帰りで観光可能です。ただ、カサブランカから片道3時間10分~5時間20分ほど、往復6時間20分~10時間40分ほどかかります。観光時間を含めると半日~終日はかかるので、余裕のある日程を組みましょう。
2-7-2.街中での迷子
革なめし職人地区の周辺では美しい街並みを歩くウォーキングツアーをはじめ美味しいグルメや楽しいショッピングが体験できますが、街中での迷子には気を付けたいです。トラブルが発生したりパニックを誘発したりすると取り返しのつかない事態になるので、街中ではコーディネーターの指示に従いましょう。



観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。



Googleマップの口コミを参考にするのもおすすめかも!
3.革なめし職人地区の見どころ
ここからは革なめし職人地区の見どころをまとめます。


3-1.タンネリショワラ
おすすめ度:
伝統残る革染色職人街。
革なめし職人地区はタンネリショワラなど見どころ満載です。
市街地から眺めただけではイマイチ規模感が伝わりませんが、隣接された革製品店の屋上から見ると一目瞭然……フェズの迷路のような街並みの中に、皮なめし工場のタンネリショワラが姿を現します。カラフルな染色液が入った染色桶が無数に並ぶ姿は、圧巻の景色です。
ここでは伝統的な製法で革製品が染められており、その過程を見学可能。
具体的には、動物の皮から体毛や皮下組織を取り除き、薬品などで処理して柔軟性や耐久性を持たせるようになめしている工程を見学できます。主に牛や羊、ヤギの皮を洗浄し、しなやかになるまで石灰や糞尿で作られた液体に浸け、2~3日ほど放置。こうすることで染料が染み込みやすくなり、より色鮮やかな素材となるわけです。
後に皮を染色液に浸し、青・赤・黄・紫などに染めます。その風景は「まるで“絵の具のパレット”のように見える」と称されるほどです。染料は青にインディゴ、赤にポピーなどが使用されるのが恒例で、オレンジのものはヘナ、場合によっては黄や紫の染料が利用されることも珍しくありません。
染料に浸して数日間染められた後は天日干しされ、バブーシュをはじめバッグやベルトが制作されます。
なお、染色桶は大きく深く、職人が股くらいまで染色液に浸かりながら作業をする光景は興味深いですが、強烈なアンモニア臭や動物臭には要注意です。



革なめし職人地区ではタンネリショワラが目玉!



個人的には泥臭いタンネリショワラがおすすめ!
4.革なめし職人地区の体験談
最後に管理人が2018年10月に訪れた革なめし職人地区の体験談を記しておきます。等身大の海外旅行記としてお楽しみください。





革なめし職人地区に到着!なんか絵の具のパレットみたいになってる!



ここはタンネリショワラと呼ばれる革職人の作業場で、伝統的な製造工程が見学できる場所なんだよね。



屋上からなめし革工場全体を見渡すと壮観。



モロッコの人々はこうやって革製品に着色してたんだね。その伝統的な染色方法を見られるだけでも貴重だよ。



四角い桶や丸い桶が所狭しと並んでて、謎の液体が入ってる。



何十色もの染料ごとに分けられてるのさ。これが中世から変わらないってんだから驚きだよね。ただ、その匂いは強烈。



かなり臭いらしいけど、万年鼻詰まりの僕には関係ない話。



ガイドも「鼻がやられるから」って理由でミントの葉を手渡す始末。みんな一斉に鼻に詰め込む姿が、ちょっと滑稽で面白い。





モロッコの名産品の1つが革製品。ここにはカラフルなバッグやベルトが並んでる。バブーシュも定番だよね。



実はバブーシュの革もタンネリで作られてるんだよね。



動物の皮を加工して、色鮮やかに染める。こうして染まった革をカバンや靴にする……まさに職人芸だよね。



その工程を経て作られたと考えるとなかなか感慨深い。





大きいバッグに中くらいのバッグに小さいバッグ。スリッパもある。



あれがバブーシュだね。モロッコではバブーシュが人気だからか露天商でも安く売られてるんだけど、高いものほど質が良いよ。



本物の革製品が欲しい人は、ちゃんとしたお店で買うのが一番。



色合いによっては茶色や緑色の渋いものもあって、お土産にも最適。タンネリショワラは有名な場所だから安心だと思う。



ただ、個人では行きづらいのが難点。



道が入り組んでて徒歩での散策がメインとなるのも要注意。



僕みたいに足腰が凝り固まってる人は、永遠にこの迷宮都市から抜け出せなくなるかもしれない。



……
その足腰、職人に一度なめしてもらったら?
5.まとめ
今回はモロッコにある革なめし職人地区の観光情報、タンネリショワラの見どころをまとめました。
海外旅行でモロッコを訪れるなら革なめし職人地区がおすすめです。中でもタンネリショワラは見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。