エジプトの古代都市テーベに広がる巨大な遺跡、それがカルナック神殿です。そこは歴代王族によって増改築が繰り返された神殿で、新王国時代の面影を色濃く残す遺跡……言うなれば古代エジプト文明の営みが刻まれた観光スポットです。
今回はエジプトにあるカルナック神殿の観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ海外旅行の計画にお役立てください。
カルナック神殿はルクソールを代表する世界遺産!
この記事では「エジプトにあるカルナック神殿の観光情報」「大列柱室やオベリスクの見どころ」をまとめるよ!
1.カルナック神殿の概要
まずはカルナック神殿の概要を見ていきましょう。
- 国:エジプト
- 地域:ルクソール
- 特徴:世界遺産/遺跡
- 目玉:大列柱室/オベリスク
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
カルナック神殿は世界遺産の古代都市、テーベに作られた巨大な神殿複合体です。そこは大列柱室やオベリスクなど歴代王族の威光が色濃く残された遺跡で、古代エジプト文明の移り変わりを追体験できる観光スポットとして知られています。
カイロからナイル川を約670km遡ったルクソールに位置するこの神殿は新王国時代に繁栄したテーベの遺跡で、対岸の古代遺跡とともに世界遺産に指定されています。
- 東岸:生者の町
- 西岸:死者の町
エジプトでは古くから「太陽が昇る東岸=生者の町」「太陽が沈む西岸=死者の町」と認識されており、カルナック神殿もその死生観に基づいて作られているのが特徴です。
実際に、西岸にある王家の谷やハトシェプスト女王葬祭殿などとともに「古代都市テーベとその墓地遺跡」として1979年に世界遺産に登録されており、両岸合わせて1つの世界遺産となっています。まさに歴史的にも文化的にも古代エジプト文明を語る上で欠かせない場所と言えるでしょう。
エジプトを訪れるならカルナック神殿は外せないね!
カイロを拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.カルナック神殿の観光情報
次にカルナック神殿の観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:15万円~45万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額はエジプト旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料は変動するので直近の情報を調べておくと安心です。
2-2.時間
- 営業時間:6時00分~17時30分(季節で変動あり)
- 所要時間:1時間~2時間
- 必要期間:7日~15日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:エジプト/ルクソール
- 住所:Karnak, Luxor, Luxor Governorate, Egypt
- 行き方:バス/タクシー/レンタカー/ツアー
- バス:7時間30分~8時間
- レンタカー:7時間30分~8時間
- タクシー:10分~20分
- レンタカー:10分~20分
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「カイロ⇒カルナック神殿」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら飛行機もしくは現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:やや暑くて晴れやすい気候
- 4月~6月:暑くて晴れやすい気候
- 7月~9月:暑くて晴れやすい気候
- 10月~12月:やや暑くて晴れやすい気候
- ベストシーズン:1月~2月/11月~12月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 23℃ | 7℃ | 0mm |
2月 | 26℃ | 8℃ | 0mm |
3月 | 30℃ | 12℃ | 0mm |
4月 | 35℃ | 17℃ | 0mm |
5月 | 39℃ | 21℃ | 0mm |
6月 | 41℃ | 24℃ | 0mm |
7月 | 41℃ | 25℃ | 0mm |
8月 | 41℃ | 25℃ | 0mm |
9月 | 39℃ | 22℃ | 0mm |
10月 | 35℃ | 19℃ | 0mm |
11月 | 29℃ | 12℃ | 0mm |
12月 | 24℃ | 8℃ | 0mm |
2-5.服装
- 1月~3月:体温調節できる服装
- 4月~6月:薄手の服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:歩きやすい靴
2-6.治安
- やや悪い
エジプトは総じて治安が悪く、旅の拠点となるカイロも治安不良です。
2-7.注意点
- 事前の勉強
- 拠点からの立地
- 遺跡の保存状態
- 遺跡への接触
2-7-1.事前の勉強
カルナック神殿は事前に勉強しないと魅力が半減してしまうかもしれません。逆に古代エジプトに関する情報を頭に入れておくことで遺跡に秘められたドラマも見えてくるため、背景を学んでから訪れてみてください。
2-7-2.拠点からの立地
カルナック神殿は日帰りで観光可能です。ただ、カイロから片道7時間40分~8時間20分ほど、往復15時間20分~16時間40分ほどかかります。観光時間を含めると半日~終日はかかるので、余裕のある日程を組みましょう。
2-7-3.遺跡の保存状態
カルナック神殿は遺跡の保存状態が完璧ではありません。時代の流れで失われてしまった部分もある他、雑な発掘作業で壊されてしまった部分もあります。そのため、完全な状態で保管されているわけではないことを念頭に置いておいてください。
2-7-4.遺跡への接触
カルナック神殿は希少な遺跡が残っているため、遺跡への接触には気を付けたいです。遺跡内には貴重な歴史や文化を紐解く遺物も収蔵されており、古代遺跡の財宝や出土品も展示されています。当然ながら許可なく触れたり傷つけたりしてはいけません。
観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。
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3.カルナック神殿の見どころ
ここからはカルナック神殿の見どころをまとめます。
3-1.スフィンクス参道
おすすめ度:
雄羊の像が並ぶ参道。
3-2.大列柱室
おすすめ度:
空を覆うパピルス柱。
3-3.オベリスク
おすすめ度:
一枚岩で作られた記念碑。
3-4.スカラベ像
おすすめ度:
願いを叶える幸運の甲虫。
カルナック神殿はスフィンクス参道や大列柱室、オベリスクやスカラベ像など見どころ満載です。
ルクソールに位置するカルナック神殿は主に「アメンの神域」「ムトの神域」「モンチュの神域」の3つに隔てられており、一般公開されているのはアメンの神域のみとなっています。そのため「カルナック神殿=アメン神殿」と解釈されることも珍しくありません。
アメンの神域に到着すると見えてくるのが、雄羊頭の石像が並ぶスフィンクス参道。40体ものスフィンクスが両側に鎮座する姿はなかなか見られない光景です。
神聖な空気に包まれたスフィンクス参道を抜けるとカルナック神殿の目玉、大列柱室とオベリスクが姿を現します。その威圧感にも似た風格は歴代王族の力の象徴……100tを優に超えるパピルス柱と記念碑が描く新国王時代そのままの姿は“古代エジプトの世界そのもの”と言えるでしょう。
- ナイル川埠頭
- 塔門
- 前庭
- ハコルの聖舟祠堂
- セティ2世の聖舟祠堂
- 聖池
- タハルカのキオスク
- タハルカ神殿
- ラムセス3世神殿
- ピネジェムの像
- 中王国時代の中庭
- 至聖所
- トトメス3世祝祭殿
- アメンホテプ2世祝祭殿
他にも3周回ると願いが叶うと言われているスカラベ像など、カルナック神殿には古代文明の遺産が無数に眠っています。古代都市テーベの複合体を構成する遺跡だけに、敷地内にはオペト神殿やコンス神殿、プタハ神殿の他、野外博物館もあるなど見どころは尽きません。
カルナック神殿ではスフィンクス参道と大列柱室、オベリスクとスカラベ像が目玉!
個人的には修復を経て現代に蘇ったスフィンクス参道がおすすめ!
4.カルナック神殿の体験談
最後に管理人が2017年11月に訪れたカルナック神殿の体験談を記しておきます。等身大の海外旅行記としてお楽しみください。
カルナック神殿に到着!今回のエジプト旅で色んな古代遺跡を見てきたけど……これまた巨大な遺跡が現れよった。
ここはかつて古代都市テーベがあった場所。
ガイドさん曰く、カルナック神殿は当時首都だったテーベの守り神、アメン神に捧げるために作られた遺跡なんだとか。
テーベは古代エジプト最大級の首都だったこともあって、医療機関や教育機関まであったみたい。
目の前には雄羊の頭を持つ40体のスフィンクス像が並ぶスフィンクス参道。ここを抜ければ古代エジプトの世界。
ちょっと覗いてみようか、古代エジプト文明。
塔門と前庭を抜けると現れる古代都市テーベ。
もともとカルナック神殿はアメン神に捧げられたものだけど、当初は地母神ムトや軍神モンチュに捧げられたものだったそうな。
……神様がいっぱい。
「ジブリがいっぱい」みたいに言わないで。
エジプトは時代によって信仰する神様も変わる。アメン神も他の神様と習合して国家神にまでなった神様なんだよね。
昔はアメン神も地方神の一角でしかなかったって話だから、大出世しまくり。
カルナック神殿はそんなアメン神に捧げられた神殿だけにアメン大神殿とも呼ばれるとのこと。
正式には一帯が「アメン大神殿複合体」と呼ばれてて、神殿というよりは“古代都市テーベを構成する集合体”みたいな感じ。
第一塔門を抜けるとピネジェムの像がある前庭があって、その先には第二塔門の前庭もあって……ってどんだけ広いの?
カルナック神殿は増改築が繰り返された神殿だから、ナイル川の埠頭から一直線に各時代の歴史的建造物が連なってるんだよね。
巨大な円柱のある大列柱室に出た……でかぁっ!
この円柱は全部で134本あって、122本が高さ約12mの未開花式パピルス柱で12本が高さ約21mの開花式パピルス柱なんだとか。
それが16列に配置されてて、とてつもない威圧感と重厚感を放ってる。でも、不思議と明るいんだ!
当時は格子状の高窓を設置することで太陽光を取り入れてたとか。「カルナック」って言葉もその高窓から来てるんだよね。
へぇ!カルナック神殿って「高窓神殿」って意味だったんだ!
ちなみに、この大列柱室は「天地創造の大地(原初の丘)に浮かぶパピルスの湿原」を表現してるんだってさ。
さらに奥に進むと見えてくるのがトトメス1世とハトシェプスト女王のオベリスク……かっけぇ!
トトメス1世のオベリスクは高さ約20m、ハトシェプスト女王のオベリスクは高さ約30mと超巨大。重さも約150t~300tあるとか。
そもそもオベリスクって?あの「遊戯王」に出てきた巨神兵のこと?
オベリスクは古代エジプト期に製作された記念碑のこと。
切れ目がないことを考えると1つの岩から作られてるのかな?
たぶんそう。実際に古代遺跡のオベリスクには、アスワンなどの石切り場で採取された巨大な花崗岩が使用されたみたい。
あっちこっちにオベリスク。これもトトメス1世のもの?
たぶんハトシェプスト女王のものかな。彼女のオベリスクはカルナック神殿だけでも複数あるらしいから。
ガイドさんが「折れたオベリスクもある」って言ってたけど、どこにあるんだろう?
もう少し奥に進んだら見えてくるはず。
……とその前にスカラベ像があった。
タハルカの建物跡の前に置かれたスカラベ像は第18王朝のアメンホテプ3世が太陽神に捧げたもの。
太陽神は「朝=ケプリ」「昼=ラー」「夕=アトゥム」の3つの形態があって、特にケプリ神はスカラベの姿で表されたんだよね。
そうそう、ちなみに「スカラベ像の周囲を3周回ると願いが叶う」という言い伝えもあるとかないとか。
僕は回る必要もないかな……もう夢叶ってるんだもの。
エジプトに来ること自体が夢だったもんね。
ようやく折れたオベリスクを発見!ツーショットを撮ってみたけど、暑さで顔がミイラみたいになっちゃったよ。
倒れたオベリスクの先端部だけでも超でかい。
昔はここ以外にもトトメス3世祝祭殿の東奥壁外部にオベリスクがあったらしい。
統治した王によって何度も作り替えられた神殿。まさにカルナック神殿は“古代遺跡のロゼッタストーン”と言えるんじゃないかな。
……日陰がありがたい。
大列柱室で涼めるなんて贅沢。
人間の大きさと比較してもわかる通りめちゃでかい。正直「こんなのどうやって作ったの?」って感想しか出てこないや。
そりゃもう古代の人たちが頑張ったんだよ。
いや、思った以上にふわっとした回答だった!
実際は部分ごとに小分けにして積み上げたってガイドさんが言ってた。それでも十分にすごすぎるんだけどね。
……暑すぎて溶けちゃいそう。砂岩の床に反射した太陽光が顎に特大のアッパーカット放り込んでくる。
体感温度40℃超えてるんじゃない?
あまりの暑さにふらふらしてきた……もしこの暑さで僕が死んだらここに特大のオベリスクを建立してほしいな。
お土産屋さんで小さいオベリスク売ってたから、それをそっと置いとくことにする。
くっ……もうちょっとでエジプト旅も終わるというのに!
果たしてミイラにならず無事に旅を終えることはできるのか……灼熱のエジプト旅はもうちょっとだけ続くのだった!
5.まとめ
今回はエジプトにあるカルナック神殿の観光情報、大列柱室やオベリスクの見どころをまとめました。
海外旅行でエジプトを訪れるならカルナック神殿がおすすめです。中でも大列柱室やオベリスクは見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。