海外旅行のレストランではテーブルマナーを守るのが常識で、行儀作法がなっていないことで恥ずかしい思いをすることもあります。アメリカやフランスなどマナーに厳しい国も多く、暗黙の了解が存在する飲食店も少なくありません。当然ながら好き勝手飲み食いするのはマナー違反です。
今回は海外旅行のレストランのテーブルマナーを解説します。併せてマナー違反となる行儀作法も説明します。加えて食事で守るべきテーブルマナーや国別のエチケットもまとめるので、海外旅行の飲食にお役立てください。
テーブルマナーは紳士の嗜み!食事の立ち振る舞いに人となりが表れるもの!
この記事では「海外旅行のレストランのテーブルマナー」「マナー違反となる行儀作法」をまとめるよ!
1.海外旅行のレストランのテーブルマナー
まずは海外旅行のレストランのテーブルマナーを見ていきましょう。
海外旅行で立ち寄るレストランはフォーマルな店からカジュアルな店まで三者三様です。そのため、テーブルマナーをあまり意識したことがないという方もいらっしゃるかもしれません。飲食店によっては行儀作法を気にせず、気軽に食事できるところもあります。
ただ、日本と比べて外国はマナーに厳しい傾向にあるからか、何気ない行為がマナー違反となることもあります。また、日本の礼儀が逆に相手を不快をさせてしまうこともあるかもしれません。それゆえにTPOに合わせた行動が求められます。
例えば、コートやバッグの預け方1つとっても行儀作法が存在し、ナプキンをはじめスプーンやフォークなどカトラリーの使い方にも行儀作法が存在します。お酒もビールとワインでは嗜み方が変わったり、逆に日本のように無料で水が出てくるのは世界でも稀だったり……国によってもテーブルマナーは千差万別です!
気軽に入れるカフェやバーやファーストフードとは別で、レストランではコース料理を味わうこともあるでしょう。その際、ある程度のテーブルマナーができるだけで印象も全然違います。だからこそ、最低限のテーブルマナーは心得ておきたいです。
行儀作法は知らないより知っておいた方が恥をかかずに済むはず!
一般常識として一通りできるようになっておくと安心かもしれないね。
2.食事で守るべきテーブルマナー
次に食事で守るべきテーブルマナーを見ていきましょう。
- 服装に関するマナー
- 案内に関するマナー
- 注文に関するマナー
- 食事に関するマナー
- 会計に関するマナー
海外の飲食店で食事をする際、守らなければならないテーブルマナーがいくつか存在します。
もともとマナーが良い客は問題ありませんが、マナーが悪い客は他の方を不快にさせてしまうことがあります。あまりにもマナー違反が目立つ場合は店側に退店を命じられることもあるかもしれません。そのため、最低限のテーブルマナーは知っておくべきです。
2-1.服装に関するマナー
服装は格式高いレストランに限り、最低限のドレスコードが必要です。厳密に何を着用すべきかは指定されないものの、レストランの雰囲気を乱す服装はマナー違反となります。
フォーマルな服装が求められるのか、それともカジュアルな服装でも構わないのか、訪れる前に一度飲食店ごとに必要な服装を確認しましょう。くれぐれも場の空気を凍りつかせるようなド派手な装いで訪れるのだけは避けたいです。
2-2.案内に関するマナー
案内はスタッフが対応してくれるまで、受付で待つのが常識とされます。勝手に店内をうろうろと歩き回るのは非常識なので、極力は呼び鈴などを鳴らして待機しましょう。もし呼び出しボタンがない場合は近くのスタッフに声をかけてみるのもありです。
なお、男女で訪れる場合は何事もレディファーストが基本です。国によっては女性を優先すべきという考え方が根強いので、男性は一歩引いて立ち振る舞うよう心がけてみてください。
2-3.注文に関するマナー
注文では大声でスタッフを呼ぶのではなく、座席で待つのが理想です。あまりに大きな声で叫ぶと他の方の迷惑となるので、どうしても来てもらいたい場合は軽く挙手するか指で合図するくらいに留めるのがスマートです。逆に注文が決まっていない場合は少しだけ待ってもらえるよう伝えましょう。
ちなみに、メニューは食べ物・飲み物含め1人1品以上が暗黙の了解となります。日本ではシェアするのも普通ですが、国によっては他人の飲食物に口をつける行為がNGとなる場合もあります。ただ、こればかりは量的に「食べきれない」「飲みきれない」という状況もあるので、その限りではありません。
2-4.食事に関するマナー
食事は普通に食べたり飲んだりする分には問題はありません。日本の結婚式で求められるレベルの行儀作法さえ守れば大丈夫です。姿勢を崩さずに美しく食べることを心がければ不快に思われることもないはずです。
ただし、カトラリーなどの食器は正しく使うのが鉄則です。例えば、前菜のサラダやメインのステーキをいただく際、ナイフ・フォークを使う順番は外側から内側が基本となります。食器は食事中「ハ」の字で置き、食後は並行に揃えて置くのが決まりです。スプーンもスープ用・スイーツ用と分けて使用するのが暗黙の了解とされます。
それでいて皿を手で持つのもNG。皿はテーブルの上に置き、座席に腰かけたままいただくのが最低限のマナーとなります。食器を落としてしまった場合は自分で拾わず、担当のスタッフに対応してもらうのが原則です。アルコール類も自分では注ぎません。
テーブルマナーは常識の範疇を超えない限り指摘されることはありませんが、くちゃくちゃ音を立てて食べるなど粗暴な振る舞いは避けるよう意識しておきたいです。
2-5.会計に関するマナー
会計はテーブルごとに済ませるのが普通です。カフェやバーやファーストフードとは違い、レストランはテーブル会計が基本となります。そのため、座ったまま会計を済ませるのがスマートです。
ただ、割り勘には対応していないところが多いので注意しましょう。そもそも欧米では支払いを分けるという発想が稀です。男性も女性も払いたい方が払うということも少なくありません。中には「食事に誘った方がご馳走する」という暗黙の了解もあります。
そのため、会計はセパレートせずに代表者が払ってしまいましょう。どうしても割り勘したい場合はレストランを出てからにしてください。
それぞれ守らなければならないマナーが存在するんだね。
誰も教えてくれないからこそ、自分から学ぶ姿勢が大切よ。
3.マナー違反となる行儀作法
次にマナー違反となる行儀作法を見ていきましょう。
ここからは日本人もやってしまいがちなNG行為についてまとめます。無意識のうちにマナー違反となっていることもあるので、さらっと確認しておきましょう。
- 場違いな服装で訪れる
- 勝手に店内を歩き回る
- 大きな声で呼びつける
- 犬食い・猫食いをする
- 食器を順不同で使う
- 食器を持って食べる
- 食器を自分で拾う
- お酒を自分で注ぐ
- 音を立てて食べる
- 残さず食べる
- 味を変える
- 割り勘する
ざっと挙げるだけでもこのようなNG行為があります。日本では問題なくとも外国では問題となることがあるので、海外でレストランに立ち寄る際は気を引き締めておきたいところです。
3-1.場違いな服装で訪れる
観光客や旅行者向けの飲食店は比較的服装も自由で、ドレスコードなしというところもあります。ただ、Tシャツをはじめジーンズやレギンス、サンダルやミュールはNGの店もあります。そのため、最低限のTPOに合わせた服装を心がけましょう。くれぐれも場違いな服装で訪れるのはマナー違反です。
3-2.勝手に店内を歩き回る
飲食店のスタイルによっては自分で席を見つけて座ることもあるかもしれません。ただ、レストランのような格式高い飲食店で勝手に店内を歩き回るのはマナー違反となります。店員がいなくてもうろうろせず、案内があるまで受付で待ちましょう。
3-3.大きな声で呼びつける
日本の飲食店では「すみませーん」とスタッフに声をかけることもあるかと思います。これは日本では何ら不思議なことではありません。ただ、海外では大声でスタッフを呼びつけるのもマナー違反となりかねません。店員を呼ぶ際は軽く手を挙げたり指を曲げたりするくらいで十分です。
3-4.犬食い・猫食いをする
犬食いは犬のような前傾姿勢で食べること、猫食いは猫のように遊びながら食べることを指します。さすがに大人で犬食い・猫食いする人はいないと思いますが、犬食い・猫食いは海外のみならず日本でも不快に思われる行為です。そのため、普段よく姿勢を注意される方は外国でも気を付けておきましょう。
3-5.食器を順不同で使う
日本は箸が主流のため、テーブルに用意されているカトラリーを順不同で使ってしまう人もいるかもしれません。ただ、海外ではナプキンをはじめスプーンやナイフ、フォークなどカトラリーの使用にも順番があります。
原則、カトラリーは外側から内側へと使っていくようにしましょう。また、食事中と食後でナイフ・フォークを置く位置が変わるのも要注意です。スプーンもスープ用・デザート用が別途用意されていることもあるので、正しい順番で使うようにしましょう。
3-6.食器を持って食べる
日本食は汁気の多い料理が少なくないため、古くから食器を持って食べる食文化が根付いたとされています。こぼさないよう食器を持って食べるのは日本だと普通のことですが、海外では皿を置いたまま食べるのが常識であり、食器を持って食べるのはマナー違反です。
3-7.食器を自分で拾う
食器を落としてしまった際、咄嗟に自分で拾う方もいるはずです。ただ、海外では食器を拾うのもスタッフの仕事の1つです。日本人の親切心が逆にマナー違反となることもあるので、気遣いもほどほどに!
3-8.お酒を自分で注ぐ
お酒が切れてしまった際、自分で注ぐ方もいるかもしれません。ただ、それもスタッフの仕事です。ビールやワインなど、アルコール類のおかわりが必要な場合はスタッフに伝えましょう。もちろん、大衆居酒屋のようなラフな店では友人・知人についでもらうのもありですが、格式高いレストランではスタッフに任せるのが大人の嗜みです。
3-9.音を立てて食べる
日本人でも外国人でも盛大に「乾杯」する姿は旅行中のありふれたワンシーンです。ただ、グラスをぶつけ合う行為が下品とされる国もあります。ビールのようにジョッキで飲むものはグラス同士をぶつけてもお咎めなしですが、ワインの行儀作法としてはアウトです。
他の食器同士でカチャカチャと音を立てるのも避けるべきかもしれません。
当然ながらくちゃくちゃ音を立てて食べる人、通称“クチャラー”も不快に思われてしまいます。麺類をすするズルズルという音も海外ではあまり上品とはされません。不快な咀嚼音は一部の国を除いて避けるべき行為とみなされます。
3-10.残さず食べる
日本人はもったいない精神の強い国……そのため、出されたものはすべて感謝を込めていただくのがマナーと言えます。管理人も残さずに食べる派です。ただ、国によってはあえて残すのがマナーとされる地域もあります。最近はフードロスの観点から「残さず食べること」が推奨されていますが、独自の食文化が残っている地域もあるということを頭の片隅に入れておきましょう。
3-11.味を変える
海外の食事が口に合わず、つい味を変えてしまう方もいるかもしれません。中には調味料を持参して自分好みに調節する人もいるくらいです。ただ、勝手な味変は料理人に対して失礼にあたります。これは万国共通で言えることですが、作ってくれた人への感謝は常に忘れないようにしましょう。
3-12.割り勘する
割り勘は日本ではよくある光景です。居酒屋でも「1人3,000円になりま~す!」という声が飛び交っています。ただ、これは日本独自の文化とも言われており、海外ではあまり見かけません。現地の飲食店も割り勘に対応していないことがほとんどです。そのため、会計は誰が払うのか先に決めておいた方が安心です。
日本での常識が海外では非常識だったりするから戸惑っちゃうよね!
郷に入っては郷に従え……その国の行儀作法を守ることこそ旅人の流儀なり。
4.国別のエチケット
最後に国別のエチケットについてまとめます。
ここでは世界各国の独自のテーブルマナーについて簡単にまとめます。中には世界的にはNGでもその国ではOKという一風変わったエチケットもあるので、滞在先ごとに調べておくと安心かもしれません。
- インド:インドでは右手のみで食べるのが一般的です。現地で左手はトイレで使用する不浄の手という認識です。そのため、食事の際には左手ではなく右手を使用するのだとか。
- 韓国:韓国では美味しくいただいていることの意思表示として、くちゃくちゃ音を立てて食べることがあります。特に親しい間柄でご馳走してもらった際には、あえて音を立てて食べる傾向にあるのだとか。
- 日本:日本では麺類をすすって食べるのが一般的です。他にもお寿司など素手で直接いただくものもあるなど、外国の方から見ると不思議な食文化に映る光景がいくつかあります。
- 中国:中国では満腹になったことの意思表示として、食べたものを少しだけ残すことがあります。中でもお腹いっぱいという気持ちを伝える際には、それぞれ一口程度残す傾向にあるのだとか。
- アメリカ:アメリカでは食卓に手や肘をつけず、背筋を伸ばして食べるのが一般的です。現地では食事もコミュニケーションの1つとされ、食事中は相手との会話が重視されます。また、大皿から取り分けて食べるファミリースタイルが見られるのも特徴です。
- イギリス:イギリスでは食事と同じくらいティータイムを大事にしており、カップとソーサーをセットでいただくのが一般的です。ただ、小指を立てて飲んだり食器を持ち換えたりすることは好まれないなど、独自の礼儀を重んじる地域もあります。
- イタリア:イタリアではパスタを食べる際、スプーンを土台にしてフォークで巻き取るのはあまり好ましくないとされます。ピザも原則はシェアせず1人で完食するなど、独自の食文化があります。
- スペイン:スペインでは食事をじっくりと味わいながら楽しむことを大事にしており、時間をかけていただくのが一般的です。急いで食べるよりも家族や親戚と語らいながら食べるため、1回の食事で1時間~2時間以上かかることは日常茶飯事とされます。
- フランス:フランスでは乾杯の際、相手の目を見てグラスを掲げるのが一般的です。ワインは原則男性がつぎ、女性は注いでもらうのが基本です。全体的にエレガントな振る舞いが求められます。
- トルコ:トルコの伝統的な家庭などでは、食事が終わった後にテーブルを片付けないことがあります。これはゲストを招いたホストが食事の成功を示す意味があり、客人が満足したことを表しているとされます。最近ではすぐに片付けることもありますが、一部の地域には古くからの習わしも残っているのだとか。
ここで挙げたテーブルマナーは同じ国同士でも人によって認識が変わりますが、中には地域ならではの行儀作法が残っている場合もあります。海外旅行で外国を訪れる際は、旅先の暗黙の了解をきちんと調べ、現地の人を不快にしないよう心がけてみてはいかがでしょうか?
現地の行儀作法をちゃんと調べてから訪れる……これこそが本当の意味でのマナーなのかもしれない。
マナーは食事中以外もきちんと守って、お互い不快な気持ちにならないよういにすることが重要!
5.まとめ
今回は海外旅行のレストランのテーブルマナー、マナー違反となる行儀作法をまとめました。
海外旅行でレストランを訪れるなら、テーブルマナーを正しく理解しておくことが大切です。日本では常識であっても海外では非常識となってしまうことがいくつかあるため、現地の習わしに合わせる必要があります。マナー違反は日本人の品格を下げることにも繋がるので、行儀作法には気を付けておきたいです。
それだけでなく国によって独自の決まりが残っている地域もあるからこそ、旅先ごとの食事マナーを熟知しておくべきです。そうすれば現地の人はもちろん自分自身も不快にならず、快適に食事を楽しむことができるのではないでしょうか。