山口の山奥にひっそり佇む巨大な鍾乳洞、それが秋芳洞です。その場所はかつて神様が住むとされた深山幽谷……秋吉台国定公園の地下深くに広がる場所とされます。まさに地球の深淵を覗ける洞窟、地獄の門を彷彿とさせる観光スポットです。
今回は山口にある秋芳洞の観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ国内旅行の計画にお役立てください。
秋芳洞は日本三大鍾乳洞にも数えられる地下空間!
この記事では「山口にある秋芳洞の観光情報」「百枚皿や千畳敷や秋吉台の見どころ」をまとめるよ!
1.秋芳洞の概要
まずは秋芳洞の概要を見ていきましょう。
- 国:山口
- 地域:美祢
- 特徴:奇岩/洞窟
- 目玉:百枚皿/千畳敷/秋吉台
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
秋芳洞は日本最大級の規模を誇る鍾乳洞で、約1kmにわたって流れる地下川を横目に洞窟探検が楽しめる場所です。地獄が口を開けているかのような巨大な穴は「外はしっとり中はひんやり」……まるで黄泉の国へ続いているかのような冷気漂う観光スポットとなっています。
時は1354年の大干ばつの日、ある禅師が雨乞い修法により命を落としてしまいます。その僧侶の入寂により開山したのが秋芳洞です。その後も干ばつが起こる度に地元民が洞奥を訪れ、いつしかこの地は神々の住む場所として崇められるようになったとか。
当時の秋芳洞は「滝穴」と呼ばれており、神様のいる深山幽谷……いわゆる「水神様の住処」として誰も近寄らなかったとされます。
その後、度重なる調査により洞窟の解明が進み、1922年に国の天然記念物に指定されます。それから4年後の1926年、昭和天皇が訪問した際に「何か名前はないのか」と提案したことで正式に秋芳洞と呼ばれるようになったとのこと。さらに1952年には特別天然記念物、1955年は秋吉台を含む国定公園として指定され、今では山口を代表とする景勝地として賑わっています。
山口を訪れるなら秋芳洞は外せないね!
山口を拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.秋芳洞の観光情報
次に秋芳洞の観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:3万円~5万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額は山口旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料は変動するので直近の情報を調べておくと安心です。
2-2.時間
- 営業時間:8時30分~17時30分(季節で変動あり)
- 所要時間:1時間~2時間
- 必要期間:3日~5日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:山口/美祢
- 住所:山口県美祢市
- 行き方:バス/タクシー/レンタカー/徒歩/ツアー
- バス:1時間~1時間30分
- タクシー:30分~1時間
- レンタカー:30分~1時間
- 徒歩:5分~10分
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「山口⇒秋芳洞」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:寒くてやや晴れやすい気候
- 4月~6月:やや暑くてやや雨が降りやすい気候
- 7月~9月:暑くて雨が降りやすい気候
- 10月~12月:やや寒くて晴れやすい気候
- ベストシーズン:5月~7月/9月~10月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 8℃ | 1℃ | 70mm |
2月 | 9℃ | 2℃ | 95mm |
3月 | 12℃ | 5℃ | 135mm |
4月 | 18℃ | 10℃ | 190mm |
5月 | 22℃ | 14℃ | 180mm |
6月 | 25℃ | 19℃ | 290mm |
7月 | 29℃ | 23℃ | 315mm |
8月 | 30℃ | 24℃ | 180mm |
9月 | 26℃ | 20℃ | 180mm |
10月 | 21℃ | 14℃ | 95mm |
11月 | 16℃ | 8℃ | 80mm |
12月 | 11℃ | 4℃ | 70mm |
2-5.服装
- 1月~3月:厚手の服装
- 4月~6月:体温調節できる服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:歩きやすい靴
2-6.治安
- 良い
山口は総じて治安が良く、旅の拠点となる山口も治安良好です。
2-7.注意点
- 運次第の催行状況
- 水中への落下
- 岩肌への衝突
- 動植物への接触
- 禁止区域への侵入
- トイレの有無
2-7-1.運次第の催行状況
秋芳洞の冒険ツアーは中止になる場合があります。コースは観光コース・冒険コースから選択可能なので、催行状況に合わせて選びましょう。
2-7-2.水中への落下
秋芳洞のコース脇には地下水が流れているため、水中への落下にも気を付けたいです。スマホやカメラを落とすと大変ですし、自分自身が落ちると危険です。洞窟の中は暗いだけでなく滑りやすく、無理に歩き回ったり走り回ったりすると散策路から転落するので、通路上では静かに過ごしましょう。
2-7-3.岩肌への衝突
秋芳洞のコース脇には鍾乳石が飛び出しているので、岩肌への衝突にも気を付けたいです。スマホやカメラをぶつけると故障しますし、自分自身がぶつかると怪我します。鍾乳洞には照明が設置されているものの視界は微妙で、場所によっては眼前5cm~10cmまで岩が迫る場所もあります。よそ見していると激突するので、通路上では警戒して進みましょう。
2-7-4.動植物への接触
秋芳洞には希少生物が暮らしているため、動植物への接触には気を付けたいです。この地域一帯は貴重な生態系を構成する生き物も生息しており、コウモリなどの動物やゴミムシなどの昆虫も分布しています。当然ながら許可なく捕まえたり掴んだりしてはいけません。
2-7-5.禁止区域への侵入
秋芳洞には立ち入り禁止区域が設定されています。洞窟にはルートに沿って柵が設置されており、それより先は立ち入り禁止です。秋吉台にも可溶性岩石の侵食作用によって生まれたドリーネやウバーレという窪地の他にポリエという低地もあり、危険地帯と化しています。制限エリアで事故に遭っても自己責任なので、絶対に入らないでください。
2-7-6.トイレの有無
秋芳洞の洞窟内にはトイレがありません。そのため、入場前に済ませておくのが安心です。
観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。
Googleマップの口コミを参考にするのもおすすめかも!
3.秋芳洞の見どころ
ここからは秋芳洞の見どころをまとめます。
3-1.百枚皿
おすすめ度:
幾星霜を重ねた石灰華段。
3-2.洞内富士
おすすめ度:
地下深くに聳え立つ霊峰。
3-3.千畳敷
おすすめ度:
延々と広がる巨大空間。
3-3.傘づくし
おすすめ度:
天井から垂れる傘状石柱。
3-4.黄金柱
おすすめ度:
鈍い金色を放つ鍾乳石。
3-5.秋吉台
おすすめ度:
日本最大級カルスト台地。
秋芳洞は百枚皿や洞内富士、千畳敷や傘づくし、黄金柱や秋吉台など見どころ満載です。
洞内のコースは約1km(総延長11km超えで国内第2位)、温度は年間通して約17℃と一定、地下世界がまるごと凍結したような不思議な光景は圧巻です。数千年数万年かけて形成された鍾乳石はまさに天然の芸術と言えるでしょう。
中でも百枚皿や洞内富士、千畳敷は見逃せません。百枚皿は一群の畦石池から成る石灰華段、洞内富士は直径約5mの霊峰、千畳敷は果てしない巨大空間……どれも秋芳洞に欠かせない名所です。他にも傘状石柱の傘づくし、大黒柱に黄金柱、五月雨御殿など見どころは尽きません。
その他、秋吉台国定公園と呼ばれる日本最大級のカルスト地形も必見です。
秋吉台には他にも洞窟があり、壇ノ浦の戦いに敗れた平家の武将が身を潜めた景清洞や戦乱の世から守るために牛を隠した大正洞などがあり、地下世界の宝庫とされます。展望台からは草原を抜けるカルストロードも望めるなど、秋芳洞とセットで回りたい景勝地と言えます。
秋芳洞では百枚皿と洞内富士、千畳敷と傘づくし、黄金柱と秋吉台が目玉!
個人的には純白のカルスト台地が広がる秋吉台がおすすめ!
4.秋芳洞の体験談
最後に管理人が2022年9月に訪れた秋芳洞の体験談を記しておきます。等身大の国内旅行記としてお楽しみください。
秋芳洞に到着。ここは約400以上あるとされる秋吉台の洞窟の中でも最大規模の鍾乳洞。
秋吉台国定公園の超巨大な洞窟。全長は約8.8kmにも及ぶとか。
近年の調査でその長さも更新されてるみたいだよ。
数年の調査で10km以上あるとわかったそうな。
まさに山口……いや、日本最大級の鍾乳洞が目の前に横たわっているということだね!
禍々しさすら帯びた真っ白な霧と一緒に冒険の匂いがプンプンしてくるぜぇっ!
ここが秋芳洞の出入口……特別天然記念物というより特別警戒区域と呼びたくなる空気に満ちてる。
まるで地獄へと続く穴。閻魔様に黄泉の国への片道切符を渡された気分だね。
本当に「冥界と繋がってるんじゃ……」と錯覚してしまうほど、底知れない巨大な穴。
その昔、ここは「滝穴」と呼ばれ、神様の住む神聖な場所とされたとか。
人間が迂闊に近づいてはならない場所……アビスだね。
かつては決して足を踏み入れてはならない禁足地として崇められていたそうな。
ぼんやりと霞む霧の先から三途の川が流れてくる。
さながらこの世とあの世の境界線。現実離れした景色だね。
真っ黒な穴からは大量の地下水が……!
この地下水が侵食した穴の高さは約20m、幅も約8mあるとか。
水の力だけでここまで巨大な穴に成長したってこと?
水位の低下や砂礫の蓄積、天井の崩落や洞窟生成物の発達も影響してるらしいよ。
いざ、ぱっくりと口を開けた巨岩の怪物の中へ……ってもう背筋が冷えてきたよ!
いや、これは寒気じゃなくてただの冷気だから安心しなよ。
随分ひんやりした洞窟だこと。霊感の強い人だったら魂ごと持ってかれるんじゃない?
その手の話はよく聞くけど、秋芳洞はただの鍾乳洞だからお化けなんて出ないよ。
おぉ!この棚田状のリムストーンプールが秋芳洞名物、百枚皿?
本当に100枚あるのか数えたいところだけど、とりあえず今は奥まで進もう。
そうだね。ここがまだ洞窟の10分の1にも到達していなかったら大変だもんね。
最深部で折り返して、気になる奇岩をゆっくり見学するプランで行くとしよう。
……一体どこまで続いているんだろう。
もうかれこれ数十分は歩いたけど、全容がまったく掴めないね。
そもそも鍾乳洞の調査も未だ完璧ではないみたいで、まだまだ未解明の場所もあるらしいよ。
行けるところまで行って、無理そうだったら引き返そう。
設置されている看板によるとここは洞内富士と呼ばれてるそうな。
確かに何百年何千年と蓄積された鍾乳石が富士山みたい。ライトアップされた姿は霊峰そのもの。
見方によっては洞窟の奥にでんと構えるクラーケンにも見える。
日本一の世界遺産、富士山まで見られるなんて……本当に秋芳洞のスケールには驚かされるばかり!
……この広さだもの。もうドームだもの。
ここがかの巨大地下空間、千畳敷。
奥へ進むほど地球の内部を覗かせてもらってる気分になってくる。
このまま進み続けたらいずれマントルとぶつかっちゃうかもね。
ちょっとだけ地球の恥部を見させてもらっているようで申し訳ない気持ちになってくる!
地球そのものにまでセクハラするとは……むしろその頭の中がどうなってんのか見てみたいよ。
中身は空っぽだから覗いても無駄さ。
熱々のマグマを流し込んでやりたい。
天井からお化けの手がニョロニョロ。下へ「おいでおいで」と手を伸ばしてるみたいで不気味。
これは傘づくし。昔は傘屋と呼ばれていたんだとか。
これだけ傘があれば雨が降っても大丈夫だね。
洞窟に濁流が流れ込んで来たら傘なんて無力。鉄砲水でイチコロ。
こっちには大黒柱……って割にはちょっと細くて頼りないお父さん。
そっちの大黒柱じゃないから。今の時代、お母さんが一家の大黒柱かもしれないし。
さらに奥に進むと黄金柱もあったよ。さながら洞窟に降り注ぐ滝のよう。
鍾乳石がこんな形になるってことは本当に水も流れてたんじゃないかな?
洞窟内の散策路に沿って流れてた地下水、その源流がこの黄金柱ってことになるのかな。
つまりはここが秋芳洞の最深部ってこと!
この奥には黒谷洞という名前の支洞も広がってるけど、一旦はここで行き止まり。
秋芳洞のコースはざっくりとした感覚で約1kmってところかな。
本当はもっと奥まで行けたんだけど、時間と膝の関係もあって戻ることに。折り返しの千畳敷にてもう1枚。
今日は他にも観光予定の場所があるからこればかりは仕方ないさ!
秋芳洞……さすがに大きすぎるよぅ。
洞窟が好きでたまらないって人は黒谷支洞へ行ってみるのもあり。
ここに来てようやくじっくりと百枚皿を眺めてみる……これは見事な皿だねぇ。
どうせならその使い物にならない膝の皿と交換してもらったら?
……失敬な!この膝は僕がここまで歩いてきたことを証明してくれる相棒なのだよ。
友と酒は古いほど良い。ボロボロの皿もまた旅の戦友ってことね。
巨大地下空間の冒険もここで終わり。ただ、洞窟に暮らす生き物を見られなかったのが心残りかな。
本来ならコウモリやゴミムシ、その他の水生生物も見られたはずなんだけどね。
今日は機嫌が悪かったのか、はたまたもともとシャイなのか。
逆に人に会いたくないから地下で生きているのかもよ。
ちなみに僕らは観光コースを回ったけど、秋芳洞には懐中電灯片手にガイドさんと回る冒険コースもあるよ。
一般入場が終了する19時以降は「夜のロマン体験」などのイベントも開催されるから、気になる人は要チェック!
秋芳洞の地上に広がるは秋吉台国定公園。この地下にあの洞窟が広がっていたんだね。
地下100m付近にある秋芳洞の他、景清洞や大正洞なども残ってるみたい。
この果てしなく続く草原の地下に無数の洞窟があると思うとなんだかゾッとしちゃうね。
……いつかシンクホールのような陥没穴が出現したりして。
秋吉台にはそこかしこに白い岩が……でも、なんでこんなところに岩が生えてるんだろう?
かつてここは海の底だったそうで、白い岩はその時にサンゴ礁だったものだとか。
石灰化したサンゴ礁が正体って……もうロマンじゃん!
そう、約3億5,000万年かけて形成・隆起したサンゴ礁なのだ!
標高300m近くあるこの場所が海の底だったなんて……やっぱり地球ってすごいや。
実際に秋吉台の石灰岩には古代生物の化石も含まれてるんだとか。
天気が微妙だから写真も微妙だけど、晴れてたらきっと絶景だったんだろうな。
これでも十分絶景だと思うけど、せっかくなら曇ってない方が良かったかもね。
今にも雨が降り出しそうな空模様。そろそろ退散するとしよう。
ゲリラ豪雨なんて降ろうものなら秋吉台に陥没孔ができちゃうかもしれないもんねっ!
こりゃあ、早いとこドロンしないとだ!
……はてさてまだまだ続く山口珍道中、次の目的地はあの日本一尊敬される先生が待つ神社へ!
5.まとめ
今回は山口にある秋芳洞の観光情報、百枚皿や千畳敷や秋吉台の見どころをまとめました。
国内旅行で山口を訪れるなら秋芳洞がおすすめです。中でも百枚皿や千畳敷や秋吉台は見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。