台湾で紅提灯に魅せられる不思議の町、それが九份です。哀愁を纏った異世界のようなその場所は台湾一の絶景、夕焼けに染まる姿には誰もが心を奪われずにいられません。まさに懐古という名の神隠しに遭う不思議の国……「千と千尋の神隠し」の情景を思わせる観光スポットです。
今回は台湾にある九份の観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ海外旅行の計画にお役立てください。
九份はトンネルの向こうへと迷い込む……繁栄と衰退の面影を残す町。
この記事では「台湾にある九份の観光情報」「提灯や阿妹茶樓や海悦樓茶坊の見どころ」をまとめるよ!
1.九份の概要
まずは九份の概要を見ていきましょう。
- 国:台湾
- 地域:新北
- 特徴:町/レジャー
- 目玉:提灯/阿妹茶樓/海悦樓茶坊
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
九份はノスタルジックな紅色提灯で知られる絶景の町です。台湾北部の山あいに佇むこの場所は同国随一の景勝地とされ、段々畑のように入り乱れる街並みが「千と千尋の神隠し」に似ていると話題になったことでも知られています。そこは哀愁と懐古が混在する観光スポット、誰もが神隠しに遭う不思議の町です。
もともと九份は19世紀末頃に金の採掘を受けて発展した鉱山街で、日本統治時代に最盛期を迎えたと伝えられています。ただ、ゴールドラッシュに沸いた金鉱の町も第二次世界大戦後には採掘量の低下により閉山、廃墟と化してしまいます。残されたのは寂れた鉱山跡地だけ……いつしか誰も寄り付かなくなってしまったのだとか。
欲望に沸いた町と消えた人々、枯れた金脈……まるで「千と千尋の神隠し」を物語るような背景は映画のストーリーと重ねずにいられません。そんな背景も相まって「千と千尋の舞台」と囁かれるようになったのかもしれません。
その後、1989年の「悲情城市」で再び注目を集め、一気に観光地化が進められます。これにより九份は一大観光地へと変貌を遂げ、今では台湾を代表とする観光スポットとして新たな歴史を刻むように動き出したのです。
台湾を訪れるなら九份は外せないね!
台北を拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.九份の観光情報
次に九份の観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:5万円~15万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額は台湾旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料はかかりません。
2-2.時間
- 営業時間:24時間
- 所要時間:2時間~3時間
- 必要期間:3日~5日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:台湾/新北
- 住所:Ruifang District, New Taipei City 224, Taiwan
- 行き方:電車/バス/タクシー/レンタカー/ツアー
- 電車:1時間~1時間30分
- バス:1時間~1時間30分
- タクシー:30分~1時間
- レンタカー:30分~1時間
- バス:10分~20分
- タクシー:5分~10分
- レンタカー:5分~10分
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「台北⇒九份」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:寒くて雨が降りやすい気候
- 4月~6月:やや暑くて雨が降りやすい気候
- 7月~9月:暑くて雨が降りやすい気候
- 10月~12月:やや寒くて雨が降りやすい気候
- ベストシーズン:4月~6月/9月~11月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 16℃ | 11℃ | 335mm |
2月 | 16℃ | 11℃ | 400mm |
3月 | 18℃ | 13℃ | 330mm |
4月 | 22℃ | 17℃ | 240mm |
5月 | 25℃ | 20℃ | 300mm |
6月 | 28℃ | 22℃ | 285mm |
7月 | 31℃ | 24℃ | 150mm |
8月 | 30℃ | 24℃ | 210mm |
9月 | 27℃ | 22℃ | 360mm |
10月 | 24℃ | 20℃ | 415mm |
11月 | 21℃ | 17℃ | 395mm |
12月 | 18℃ | 13℃ | 330mm |
2-5.服装
- 1月~3月:体温調節できる服装
- 4月~6月:薄手の服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:歩きやすい靴
2-6.治安
- やや良い
台湾は総じて治安が良く、旅の拠点となる台北も治安良好です。
2-7.注意点
- 街中での迷子
- 急勾配な傾斜
- 臭豆腐の激臭
2-7-1.街中での迷子
九份の周辺では美しい街並みを歩くウォーキングツアーをはじめ美味しいグルメや楽しいショッピングが体験できますが、街中での迷子には気を付けたいです。トラブルが発生したりパニックを誘発したりすると取り返しのつかない事態になるので、街中ではコーディネーターの指示に従いましょう。
2-7-2.急勾配な傾斜
九份は基隆山の斜面に作られた炭鉱の町ということで、急勾配な通路が多いです。階段や坂道も決して少なくないため、歩いているだけでも足腰にダメージが蓄積されます。働き者のリンさんのような健脚であれば多少歩き回っても問題はないと思いますが、坊のような引きこもり赤ちゃんにとっては大変かもしれません。
それでいて人混みも半端ではないので、観光客や旅行者の勢いに押されて急勾配な傾斜を転げ落ちないよう注意してください。
2-7-3.臭豆腐の激臭
九份に限った話ではありませんが、屋台などでは台湾名物の臭豆腐が販売されています。この臭豆腐、日本で言うところの納豆のようなもので、慣れていない人からするとかなりの激臭です。九份でも臭豆腐の激臭に参ってしまったという方もいるようなので、鼻が敏感な人は覚悟が必要かもしれません。
観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。
Googleマップの口コミを参考にするのもおすすめかも!
3.九份の見どころ
ここからは九份の見どころをまとめます。
3-1.提灯
おすすめ度:
夜に火が灯される提灯。
3-2.阿妹茶樓
おすすめ度:
油屋を彷彿とさせる茶屋。
3-3.海悦樓茶坊
おすすめ度:
油屋を一望できる茶屋。
3-4.九份老街
おすすめ度:
屋台で賑わう旧市街。
九份は提灯や阿妹茶樓、海悦樓茶坊や九份老街など見どころ満載です。
レトロな雰囲気を帯びた九份は昼も風情がありますが、夜になると景色は一変……提灯によるライトアップが行われます。九份の提灯は点灯時間が決められているわけではないものの、日没の1時間前から21時頃まで火が灯されます。そんな紅提灯が街を赤く染める光景は九份ならではの絶景と言えるでしょう!
昔ながらの台湾の原風景を守ってきた九份は狭い路地や急な階段、細い坂道が入り組んでおり、かつての面影も感じられます。提灯だけでなく伝統的な家屋もまた味があります。
それだけでなく「千と千尋の神隠し」の湯屋を彷彿とさせる阿妹茶樓、それを一望できる海悦樓茶坊も必見です。もともと九份は台湾茶文化の中心地でもあり、数多くの茶屋や茶畑があります。現地では伝統的な台湾茶もいただけるので、歩き疲れた人はお茶でも飲みながらまったり九份の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか?
周辺にはお茶の試飲や購入、茶葉の製造工程の見学ができるスポットもあります。
主要な観光地である九份老街を歩けば、この町のあんなものやこんなものにも出会えます。迷路のように張り巡らされた旧市街はまさに“神隠しに遭う町”と言えるでしょう。ただ、台湾の伝統的な食べ物や飲み物、お土産などを扱っている店舗もあって純粋なグルメやショッピングも楽しめます。まさに九份は台湾観光にうってつけの超おすすめスポットです。
九份では提灯と阿妹茶樓、海悦樓茶坊と九份老街が目玉!
個人的には夕刻に灯り始める赤い提灯がおすすめ!
4.九份の体験談
最後に管理人が2016年4月に訪れた九份の体験談を記しておきます。等身大の海外旅行記としてお楽しみください。
九份に到着!これが「千と千尋の神隠し」の舞台になった場所かぁ。
その説はスタジオジブリが否定してるけど、それでも確かにこの景色は劇中に登場する温泉街に似てるね!
複雑怪奇な迷路と化した街並み……眺めてると吸い込まれそうになる。千尋もこんな気持ちだったのかな。
のれんに「め」とか「ゆ」とか書いてそうだよね。まさに不思議の国の九份……怪異に連れ去られないよう手を繋いどかないと!
そういえば劇中の温泉街にあった「め」とか「ゆ」とかの文字って何を意味してたんだろう。
一説によると「夢」を表してるって話だけど、単純に湯屋は「ゆ」で飯屋は「め」って説もあったりなかったり。
ちなみにここが目抜き通りらしいんだけど、分かれ道ばかりで一瞬で神隠しに遭っちゃいそうだよ。
空に覆いかぶさるレトロな建物、立体交差するツギハギの町。これは八百万の神々にも出会えそうな予感がするね。
まずは九戸茶語にて早めの夕食。神様が召し上がりそうなご馳走をいただきまぁ~す!
……それ絶対に手出したらダメなやつじゃん。湯婆婆に豚にされちゃっても知らないからね。
万物に神が宿る日本では人間も神様みたいなもんだし、たぶん大丈夫でしょ!大丈夫ダイジョウ……ブヒッ!
こうして神々の御膳を食い散らかした愚かな男は豚の姿に変えられてしまったのだとさ。めでたしめでたし。
徐々に日が沈み、火が灯る紅提灯。それはまるで神々の来訪に急かされているかのよう。
「じきに夜になる」「その前に早く戻れ」……ハクのセリフが勝手に脳内で再生されちゃうね。
「もう明かりが入った!急いで!」からの紫電一閃、あの怒涛の展開には子供ながらに震えたよ。
まぁこんな人混みじゃ身動き取ろうにも取れないけどね……どこもかしこも異世界に迷い込んだ千尋だらけ。
人間の海に埋め尽くされる窮屈な路地。推定約数百人~数千人の千尋がひしめき合って夢現。
神隠しに遭うどころか夜になるにつれてどんどん人が集まってきてる。これは腐れ神も呼び寄せちゃうかも!
喧騒の中で何気なく撮影した1枚。火を灯した不揃いな提灯がノスタルジック。
石段を一歩上がる度に異国情緒が押し寄せる。九份らしさ満点の赤い提灯が眩しいや。
それにしても不思議な風景だよね。なんだか心だけふわっとどこかに消えちゃいそう。
みんなこの景色を見て「千と千尋に似てる」って思ったのかも。それにしてもすごい傾斜……落ちたらあの世まで真っ逆さまだ。
……いや、ここがもうあの世だったりして。
それってもう神隠しに遭っちゃってる……ってこと?!
こ、これがあの油屋のモデルになったと言われてるお茶屋さん?
公式では「特定のモデルはない」と断言してるけど、確かに油屋っぽい見た目してるね。
奇妙に折り重なったような街並みが“それ”っぽい。
お店の名前は阿妹茶樓って言うらしいよ。地元の人曰く向かい側の海悦樓茶坊からの眺めが絶景だとか。
だからこっちに人が集まってたのか……それにしても人やばっ!
ちなみに、道の真ん中で立ち止まってると荷物運びのおじさんに怒られちゃうから注意してね。
鮮やかな提灯と煌びやかな電飾の饗宴。窓から覗く賓客の姿はさながら神様たちの大宴会。
オオトリ様におしら様、春日様に牛鬼様……みんなでワイワイガヤガヤ大騒ぎしてるみたい。
はっ!僕の隣にも赤い目をしたオオトリ様が?!
いや、私はただのセキセイインコだから。
さぞかし名のある鳥の主と見受けたが、なぜそのように荒ぶるのか!
荒ぶってないし!そもそもそれ「もののけ姫」のセリフだから!
それにしてもこの風景、なぜか懐かしく感じるのは気のせい?
……わかる、ずっと眺めてたくなる街並みだよね。
これはもはや“神隠し”なんかじゃなくて“里帰り”。
ここは誰もが故郷に帰ってきたような気分に浸れる場所。日本人の心の故郷であるジブリみたいな存在なのかも。
臆病風に吹かれながら段々畑のようなでこぼこ道を散策。
ギシギシと音を立てて建物同士がおしくらまんじゅうしてる。
本当に迷子になりそうな街並みだよね。
しばらくここにいたら帰り道がわからなくなっちゃいそう。
さながら湯婆婆に名前を奪われて帰り道がわからなくなった千尋みたいだけど、そんな迷子もまた一興。
ここでは“名を奪われる”ってより“心を奪われる”と帰り道がわからなくなっちゃうのかもしれないね。
ぐるっと基山街の屋台通りを回って戻ってきた……いやはや、これはもう天然の迷宮だよ。
起伏が激しい分、あちこち歩いてるだけで体力が削られちゃうね。
豎崎路なんて人通りが激しすぎてゆっくり観光してる場合じゃねっぞ!階段と坂道の連続で膝もぶっ壊れる寸前だもの!笑
まぁ立てなくなったらハクに魔法でもかけてもらえば大丈夫さ。
膝がぐにゃぐにゃな自分としてはあの魔法が一番欲しい。砂金よりも千尋よりも……健康な膝欲しい!
いや、カオナシの願いと違って切実!どうせ魔法で出してもらったとしても偽物だから意味ないし!
全部土塊だもんなぁ。でも憧れの九份を歩けて楽しかったよ!
まさに崖の上の迷宮の名に恥じない町だったね。ここは迷い込んだ人にしか見えない不思議の国……訪れる際は名前を忘れなきよう。
向こうには昇平戯院。珍妙な絵からして映画館みたいな施設か何か?
あれは1934年に完成した施設で、今は無料のシアターとして活用されてる劇場みたいなところかな。
「千と千尋の神隠し」が上映されてたら乙なんだけど、さすがにそれはないよね?笑
ここでは九份のドキュメンタリーやレトロムービーを放映してるみたい。
ここ、あの階段のシーンに似てない?千尋が油屋の裏側から一気にダダダダダァーって下ってくるところ。
確かに!絶叫しながら転がり落ちてくる千尋の姿が浮かんでくるね!
こうやって映画のワンシーンを探して歩くのも九份観光の醍醐味かも。
何気にここからの眺めが一番「千と千尋の神隠し」っぽさがある気がするよ。みんなも探してみてね。
上から眺める霧の秘境村。こんなところに町があるのもまた不思議。
もともと観光名所じゃなくてただの金山だったからか、周辺には炭鉱夫たちの民家がちらほら。
しばらく日が沈むのを待ってから中央通りに戻ると……そこは夜の帳の別世界。
夜空に飲み込まれるほど強く激しく燃え上がる提灯。そこに劇中の名言が星の如く降り注ぐ。
まるで魔法で作ったかのような光景。これは紛れもなく台湾一の絶景だと思う。
たぶん、ここで見た景色はこの先もずっと忘れないだろうね。
「一度あったことは忘れないもんさ。思い出せないだけで」……銭婆もそう言ってる。
これからも旅する度に思い出すはず。この場所に立って見たこの景色。
魔法の世界なんかじゃなくて、現実の世界であったこと。
「さぁ、行きな。振り向かないで」
そんな不思議な声に背中を押され、振り向いた時にはもう九份の姿は見えなくなっていたのだった。
……も、もしかしたら本当に“向こうの世界”を彷徨ってたのかもね。
5.まとめ
今回は台湾にある九份の観光情報、提灯や阿妹茶樓や海悦樓茶坊の見どころをまとめました。
海外旅行で台湾を訪れるなら九份がおすすめです。中でも提灯や阿妹茶樓や海悦樓茶坊は見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。