エジプト初の女性ファラオが建造した葬祭殿、それがハトシェプスト女王葬祭殿です。そこは紀元前1500年頃に作られた古代遺跡で、数ある神殿の中でも希有な存在……自らの力で新時代を切り開いた女王にまつわる観光スポットです。
今回はエジプトにあるハトシェプスト女王葬祭殿の観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ海外旅行の計画にお役立てください。
ハトシェプスト女王葬祭殿は野心から生まれた魂の葬祭殿。
この記事では「エジプトにあるハトシェプスト女王葬祭殿の観光情報」「オシリス神列像やハトホル柱の見どころ」をまとめるよ!
1.ハトシェプスト女王葬祭殿の概要
まずはハトシェプスト女王葬祭殿の概要を見ていきましょう。
- 国:エジプト
- 地域:ルクソール
- 特徴:世界遺産/遺跡
- 目玉:オシリス神列像/ハトホル柱
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
ハトシェプスト女王葬祭殿は古代エジプト初の女性ファラオによって築かれた神殿で、「古代王に私はなる!」という強い意志と信念によって生まれた葬祭殿です。そこは古代エジプトでも希有な存在……新時代を切り開いた女性ファラオを象徴とする観光スポットとして知られています。
もともと、古代エジプトは男性だけが王を名乗れる時代でした。
しかし、ハトシェプストはトトメス1世の娘として王位継承権を持ち、夫トトメス2世を王にすることで自らも権力を掌握……彼の死後は側室の息子トトメス3世が幼いことを理由に摂政となり、最終的には王にまで上り詰めた人物とされています。まさにエジプトに新たな風を吹かせた女王と言えるでしょう!
彼女は人並外れた野心家で、自らがファラオとなるために人前では顎鬚で男装をしていたそうです。結果的に古代エジプト初の女性ファラオとなったというのだから驚きを隠せません。
なお、ハトシェプスト女王葬祭殿は太陽神アメンラーを祀る神殿で、設計・建築を行ったのはセンムトという愛人だったとされています。センムトは有能な官吏・政治家で、彼女の右腕でもあったようです。王になるためには側近すら口説いて手駒にする……もしかするとハトシェプストは稀代の悪女でもあったのかもしれません。
エジプトを訪れるならハトシェプスト女王葬祭殿は外せないね!
カイロを拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.ハトシェプスト女王葬祭殿の観光情報
次にハトシェプスト女王葬祭殿の観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:15万円~45万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額はエジプト旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料は変動するので直近の情報を調べておくと安心です。
2-2.時間
- 営業時間:6時00分~17時00分(季節で変動あり)
- 所要時間:30分~1時間
- 必要期間:7日~15日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:エジプト/ルクソール
- 住所:Al Qarna, Luxor 1340420, Egypt
- 行き方:バス/タクシー/レンタカー/ツアー
- バス:7時間30分~8時間
- レンタカー:7時間30分~8時間
- タクシー:20分~30分
- レンタカー:20分~30分
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「カイロ⇒ハトシェプスト女王葬祭殿」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら飛行機もしくは現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:やや暑くて晴れやすい気候
- 4月~6月:暑くて晴れやすい気候
- 7月~9月:暑くて晴れやすい気候
- 10月~12月:やや暑くて晴れやすい気候
- ベストシーズン:1月~2月/11月~12月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 23℃ | 7℃ | 0mm |
2月 | 26℃ | 8℃ | 0mm |
3月 | 30℃ | 12℃ | 0mm |
4月 | 35℃ | 17℃ | 0mm |
5月 | 39℃ | 21℃ | 0mm |
6月 | 41℃ | 24℃ | 0mm |
7月 | 41℃ | 25℃ | 0mm |
8月 | 41℃ | 25℃ | 0mm |
9月 | 39℃ | 22℃ | 0mm |
10月 | 35℃ | 19℃ | 0mm |
11月 | 29℃ | 12℃ | 0mm |
12月 | 24℃ | 8℃ | 0mm |
2-5.服装
- 1月~3月:体温調節できる服装
- 4月~6月:薄手の服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:歩きやすい靴
2-6.治安
- やや悪い
エジプトは総じて治安が悪く、旅の拠点となるカイロも治安不良です。
2-7.注意点
- 事前の勉強
- 拠点からの立地
- 遺跡の保存状態
- 遺跡への接触
2-7-1.事前の勉強
ハトシェプスト女王葬祭殿は事前に勉強しないと魅力が半減してしまうかもしれません。逆に古代エジプトに関する情報を頭に入れておくことで遺跡に秘められたドラマも見えてくるため、背景を学んでから訪れてみてください。
2-7-2.拠点からの立地
ハトシェプスト女王葬祭殿は日帰りで観光可能です。ただ、カイロから片道7時間50分~8時間30分ほど、往復15時間40分~17時間ほどかかります。観光時間を含めると半日~終日はかかるので、余裕のある日程を組みましょう。
2-7-3.遺跡の保存状態
ハトシェプスト女王葬祭殿は遺跡の保存状態が完璧ではありません。時代の流れで失われてしまった部分もある他、雑な発掘作業で壊されてしまった部分もあります。そのため、完全な状態で保管されているわけではないことを念頭に置いておいてください。
2-7-4.遺跡への接触
ハトシェプスト女王葬祭殿は希少な遺跡が残っているため、遺跡への接触には気を付けたいです。遺跡内には貴重な歴史や文化を紐解く遺物も収蔵されており、古代遺跡の財宝や出土品も展示されています。当然ながら許可なく触れたり傷つけたりしてはいけません。
観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。
Googleマップの口コミを参考にするのもおすすめかも!
3.ハトシェプスト女王葬祭殿の見どころ
ここからはハトシェプスト女王葬祭殿の見どころをまとめます。
3-1.オシリス神列像
おすすめ度:
壮観な迫力を放つ全身像。
3-2.ハトホル柱
おすすめ度:
雌牛の頭部を持つ装飾柱。
※仮画像
ハトシェプスト女王葬祭殿はオシリス神列像やハトホル柱など見どころ満載です。
3層から成るハトシェプスト女王葬祭殿は、3階部分が女王の墓に繋がる至聖所となっており、荘厳なオシリス神列像が立ち並んでいます。2階部分はアヌビス神の礼拝所やハトホル女神の礼拝所が広がっており、古代エジプト遺跡でよく見られるハトホル柱が置かれているのが特徴です。
どちらも古代エジプト文明を象徴する歴史的建造物で、紀元前1500年頃のものとは思えない保存状態の壁画や碑文が拝めます。礼拝堂の中には数々のレリーフが残されており、考古学の世界を追体験できるのが魅力です。
レリーフの一部は削られてしまっているものの、石に刻まれた物語は何時間でも見ていられるほど。軍隊や交易の様子を描いたレリーフなど見どころは尽きません。
特にアヌビスとハトホル、両名の礼拝堂は古代遺跡のカラフルな色合いが残っており、色彩豊かなレリーフが眺められます。青や赤、黄や緑に塗られた着色は必見です。頂上部分のテラスから眺める絶景も相まって、まるで砂漠の世界を冒険しているような感覚が楽しめるでしょう。
ハトシェプスト女王葬祭殿ではオシリス神列像とハトホル柱が目玉!
個人的にはずらっと並んだオシリス神列像がおすすめ!
4.ハトシェプスト女王葬祭殿の体験談
最後に管理人が2017年11月に訪れたハトシェプスト女王葬祭殿の体験談を記しておきます。等身大の海外旅行記としてお楽しみください。
ハトシェプスト女王葬祭殿に到着!ここは古代エジプト初の女性ファラオによって造営された場所。
ハトシェプスト女王はエジプト第18代王朝の王妃で、父にトトメス1世、夫にトトメス2世を持つ野心家として知られる人。
後継者トトメス3世に代わって22年間共治王を務めた人で、自らがファラオを名乗って実権を掌握したらしいね。
公的な場では男装して顎髭を付けるくらい徹底してファラオを演じたみたいだよ。
ただ、強欲な悪女って見方もあるけど、トトメス3世即位までの“つなぎ役”を果たしたって見解もある。
ハトシェプスト女王の死後、彼女の事跡がトトメス3世によって抹消されたところを見ると関係は悪かったんじゃないかな。
エジプト人考古学者のザヒ・ハワスによると2人の関係は良好だったって話もあるから、本当のところはわからない。
……真実は古代人のみぞ知るってところ?
葬祭殿は3層のテラスと傾斜路から構成されており、頂上部分にはオシリス神列像が並んでる……真似してみる!笑
腕をクロスさせるポーズは王権の力の象徴なんだけど、本来は右手が上で左手が下だから逆かな。
あらま!これまた失礼いたしました。
なお、テラスには男装したハトシェプスト女王の立像もあったんだけど、後にトトメス3世によって破壊されちゃったみたい。
……あれ?2人の関係は良好じゃなかったの?
んんぅ、本当はハトシェプスト女王が権力を握ってて、生前はトトメス3が単に自由にできなかっただけなのかも。
彼女の死後、呪縛から解き放たれたトトメス3世が破壊……相当な恨みがあったとも捉えられる。
実際に葬祭殿内部の壁画や碑文もすべて削り取られてて、一部しか残ってないからね。
とてもじゃないけど関係良好だったとは思えないよ。
ただ、礼拝堂にはプント国との交易の様子やアヌビス神など神々のレリーフが残ってて見どころは健在だから安心して。
ガンバレ……ガンバレ……と地を這うような野太い声で来訪者に話しかけるエジプシャンおじいさん。
怪しい応援団の正体はこのおじいさんだったのね!
ただ応援してくれてるだけかと思ったらペンをねだってくる!
日本製のペンは品質が良いってことで欲しがる人結構いるんだよね。ついでにヴェルタースオリジナルもあげよう。
でも、3つ渡すとお腹をポンッと叩いて5つ欲しがる。結局、全部あげることになっちゃったよ。
……ったくエジプト人は憎たらしい!でも、そこが人間味があって憎めないところなんだけども!笑
ただ、別れ際に「モウイッコ」……じゃねぇわ!ハトシェプスト女王ばりに欲張りさん!笑
最後まで愉快すぎるおじいさんだった。
お土産屋さんにはナイルワニみたいなおじさん!
一見凶悪な顔だけど、実はお土産屋さんを営む普通のおじさん。お土産通りを歩いてたら「俺の店も見てってくれ」って誘ってくれた。
気づけば店の中で「あれはどうだ?」「これはどう?」と迫ってくる。これがエジプト流の商売方法。
ドヤ顔で自慢の品物を披露してくれてるってわけだ。
ローカル感あって素敵な店……ってことで爆買いしてあげたら満面の笑みで握手&ハグの嵐!
おまけもつけてくれて名前まで覚えてくれた!
もしかしたらエジプトお土産屋さん界隈に「はるまる」という言葉がトレンド入りしてるかも!笑
最後には手を振って「You are best friend!」と何度も言ってくれる。本心かはわからないけど、嬉しい。
貧しいながらも一生懸命お土産を売って暮らしてい……いや、このナイルワニのようなお腹を見る限り!
たらふく食っとるなぁ……そんな疑念が拭えないままハトシェプスト女王葬祭殿を後にするのだった。
ハトシェプスト女王葬祭殿からちょっと離れたところにあるのが、アメンホテプ3世を模したメムノンの巨像。
呼び名はギリシャの伝説、トロイア戦争に登場するエチオピア王メムノーンに由来するみたい。
今では巨像が2つ並んでるだけだけど、もともとはアメンホテプ3世の葬祭殿があったらしいよ。
なんで他の葬祭殿と違って跡形もないんだろうね?
ガイドさん曰く第19王朝ファラオ、メルエンプタハが自身の葬祭殿の石材調達のため破壊したんだってさ。
過激なことするね。ちなみに、メムノンの巨像は声を出すって言い伝えがるけど本当なのかな?
本当だよ!紀元前27年の地震で入った亀裂からうめき声が聞こえるんだ……実際は朝露の蒸発や温度差が原因って話だけど。
ガイドさんが脚色して説明するから信じちゃいそうだったよ。ただ、エジプトは数々の伝説が残ってて本当飽きないねぇ。
今にも巨神兵のように動き出しそうでちょっと怖いね。
……怖いのはその想像力だよ。
5.まとめ
今回はエジプトにあるハトシェプスト女王葬祭殿の観光情報、オシリス神列像やハトホル柱の見どころをまとめました。
海外旅行でエジプトを訪れるならハトシェプスト女王葬祭殿がおすすめです。中でもオシリス神列像やハトホル柱は見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。