エジプトを紐解く上で欠かせない古代遺跡の聖地、それがダハシュールです。この地にはナイル川に寄り添うように繁栄した古代エジプトの王墓群が広がり、赤いピラミッドや屈折ピラミッドなど希少なネクロポリスが埋まっています。そこは古王国時代の逸話が残る観光スポットです。
今回はエジプトにあるダハシュールの観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ海外旅行の計画にお役立てください。
ダハシュールはギザと双璧をなす世界遺産!
この記事では「エジプトにあるダハシュールの観光情報」「赤いピラミッドや屈折ピラミッドの見どころ」をまとめるよ!
1.ダハシュールの概要
まずはダハシュールの概要を見ていきましょう。
- 国:エジプト
- 地域:ダハシュール
- 特徴:世界遺産/遺跡
- 目玉:赤いピラミッド/屈折ピラミッド
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
ダハシュールはナイル川西岸に広がる古代エジプトの王墓群で、首都カイロから南に外れた地域に残る世界遺産です。ギザの三大ピラミッドとともに世界遺産に登録されており、古代王との時空を超えた邂逅が待つ観光スポットとして知られています。
エジプトでは「ピラミッド=ギザ」という印象ですが、実はメンフィスやダハシュールを含む地域一帯が複合遺産として登録されています。“死者の町”ネクロポリスには壮大な墓地群が形成され、ダハシュールでも独特な色彩を放つ赤いピラミッドや特殊な形状を持つ屈折ピラミッドが発掘されているほどです。2つのピラミッドはクフ王の父であるスネフェル王の墓で、他にも古代エジプト第12王朝のアメンエムハト2世やセンウセルト3世の王墓が発見されています。
周辺には黒いピラミッドや白いピラミッド、小ピラミッド群も埋まっており、この地域全体が巨大なピラミッド複合体を形成しています。他にも古代エジプト第13王朝のピラミッドが発見されるなど、ダハシュールは数世代にわたる王族のネクロポリスと言えるでしょう。
例えるなら光のギザと闇のダハシュール、そして古のメンフィス……そのすべてが古代エジプトの歴史を物語る世界遺産なのです。
エジプトを訪れるならダハシュールは外せないね!
カイロを拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.ダハシュールの観光情報
次にダハシュールの観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:15万円~45万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額はエジプト旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料は変動するので直近の情報を調べておくと安心です。
2-2.時間
- 営業時間
⇒町:24時間
⇒赤いピラミッド:9時00分~17時00分(季節で変動あり)
⇒屈折ピラミッド:9時00分~16時00分(季節で変動あり) - 所要時間:2時間~3時間
- 必要期間:7日~15日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:エジプト/ダハシュール
- 住所:Dahshur, Egypt
- 行き方:タクシー/レンタカー/ツアー
- タクシー:30分~1時間
- レンタカー:30分~1時間
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「カイロ⇒ダハシュール」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:やや暑くて晴れやすい気候
- 4月~6月:暑くて晴れやすい気候
- 7月~9月:暑くて晴れやすい気候
- 10月~12月:やや暑くて晴れやすい気候
- ベストシーズン:2月~4月/11月~12月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 19℃ | 10℃ | 5mm |
2月 | 21℃ | 11℃ | 5mm |
3月 | 24℃ | 13℃ | 5mm |
4月 | 29℃ | 16℃ | 0mm |
5月 | 33℃ | 19℃ | 0mm |
6月 | 35℃ | 22℃ | 0mm |
7月 | 35℃ | 23℃ | 0mm |
8月 | 35℃ | 24℃ | 0mm |
9月 | 34℃ | 22℃ | 0mm |
10月 | 30℃ | 19℃ | 0mm |
11月 | 25℃ | 15℃ | 5mm |
12月 | 21℃ | 11℃ | 5mm |
2-5.服装
- 1月~3月:体温調節できる服装
- 4月~6月:薄手の服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:入場チケット/歩きやすい靴
2-6.治安
- やや悪い
エジプトは総じて治安が悪く、旅の拠点となるカイロも治安不良です。
2-7.注意点
- 事前の勉強
- 遺跡の保存状態
- 遺跡への接触
- 迷惑な行商人
2-7-1.事前の勉強
ダハシュールは事前に勉強しないと魅力が半減してしまうかもしれません。逆に古代エジプトに関する情報を頭に入れておくことで遺跡に秘められたドラマも見えてくるため、背景を学んでから訪れてみてください。
2-7-2.遺跡の保存状態
ダハシュールは遺跡の保存状態が完璧ではありません。時代の流れで失われてしまった部分もある他、雑な発掘作業で壊されてしまった部分もあります。そのため、完全な状態で保管されているわけではないことを念頭に置いておいてください。
2-7-3.遺跡への接触
ダハシュールは希少な遺跡が残っているため、遺跡への接触には気を付けたいです。遺跡内には貴重な歴史や文化を紐解く遺物も収蔵されており、古代遺跡の財宝や出土品も展示されています。当然ながら許可なく触れたり傷つけたりしてはいけません。
2-7-4.迷惑な行商人
ダハシュールに限らず、エジプトの主要な観光地には迷惑な行商人が跋扈しています。強引な物売りや執拗な客引きも横行しており、現場はやりたい放題の無法地帯と化しています。お人好しの日本人ほど押し売りやぼったくりの被害に遭いやすいので、明確な意思表示を忘れずに。
観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。
Googleマップの口コミを参考にするのもおすすめかも!
3.ダハシュールの見どころ
ここからはダハシュールの見どころをまとめます。
3-1.ナツメヤシ畑
おすすめ度:
砂漠に茂るソースの畑。
3-2.赤いピラミッド
おすすめ度:
赤みがかった王の墓。
3-3.屈折ピラミッド
おすすめ度:
折れ曲がった王の墓。
ダハシュールはナツメヤシ畑や赤いピラミッド、屈折ピラミッドなど見どころ満載です。
デーツで知られるナツメヤシ畑は砂漠に潤いと癒しを与えてくれる存在で、逞しく生い茂る青々とした植物の生命力には感動すら覚えます。砂に囲まれたエジプトにおいて緑溢れるオアシスが見られるというのはなかなか貴重な体験です。砂漠の乾燥にやられてしまった目の保養にもぴったりでしょう!
もちろん、世界遺産のピラミッドも見逃せません。ダハシュールには赤いピラミッドや屈折ピラミッドなど、ギザの三大ピラミッドとは特色の異なる王墓がいくつか散見されます。
赤いピラミッドは古代エジプト第4王朝のスネフェル王が最後に遺した王墓で、花崗岩の影響で赤みを帯びているのが特徴です。最初は白い石灰岩に覆われていたものの大部分が盗賊に略奪され、基礎部分とその一部のみが残っている状態です。赤いピラミッドは歴代王墓の中で三番目の高さを誇りますが、傾斜は緩く潰れたような見た目が特徴となっています。
屈折ピラミッドもスネフェル王が遺した王墓で、中腹から折れ曲がっているのが特徴です。当時はより急勾配だったものの計画が頓挫し、途中から傾斜を緩めて作ったことで独特の形状が生まれたそうです。屈折ピラミッドは裏話が面白いだけでなく、崩落した化粧板が見られるのも特徴となっています。
ダハシュールではナツメヤシ畑と赤いピラミッド、屈折ピラミッドが目玉!
個人的にはデーツを栽培してるナツメヤシ畑がおすすめ!
4.ダハシュールの体験談
最後に管理人が2017年11月に訪れたダハシュールの体験談を記しておきます。等身大の海外旅行記としてお楽しみください。
ダハシュールに到着!砂漠なのに目の前には溢れんばかりの緑……砂塵に持っていかれた目も回復した!
これはナツメヤシ畑だね。あのオタフクソースの原料の1つであるデーツが実る木だよ。
無類の粉もん好きとしては頭が上がらない、足も向けて寝られない。
日本人のソウルフードを支える魅惑の果実。B級グルメの大黒柱。実はドライフルーツにして食べても美味しいとか。
あのオタフクソースにそんなスーパーフードが入ってたとは……。
絶世の美女と謡われるクレオパトラも愛した果物なんだってさ。
クレオパトラの寵愛を受けた果物……何とも羨ましい!いや恨めしい!
ちなみにエジプトでは紀元前6000年代から栽培されてたとのこと。
今から7000年前~8000年前かぁ。想像もつかないほど大昔からデーツは食べられてたんだ……まさに時をかける果物!
砂に埋もれた遺跡と土で育まれる果物。どちらもエジプトを語る上で欠かせない存在ってことがわかったよね。
これが赤いピラミッド……だよね?想像してたより10倍ほど色が薄かったや!笑
確かに赤というよりは橙に近いかもね。そもそももともと白だったのよ、この王墓。
そうなの?ここ全部が黄ばんでたんじゃないの?
それは基礎部分の話で本来ピラミッドの表面は化粧石で覆われているのが主流だったみたいだよ。
つまり、今見えてる部分は王墓の中身、お墓の内蔵ってこと?
そうなるね。この王墓も土台の花崗岩が見えてるだけで、もともとは石灰岩の化粧板に覆われてたのさ。
だから赤のピラミッドって呼ばれてるわけか。
それでいて高さは約104m、底辺が約219m×222m、角度が約43度もある。
エジプトの王墓としてはクフ王とカフラー王に次ぐ三番目の大きさらしいじゃない。
なお、構想から完成までに10年と7ヶ月もの年月がかかったとか。
約11年か……20代の血気盛んな若者も30代のしょぼくれたおじさんになってしまうほどの歳月がかかったんだね。
逆に数十年も治世したスネフェル王政権がいかに安定していた政権だったかを証明するネクロポリスでもあるんだよ。
むしろ10年と約半年で完成したものが何百年も何千年も残ってるって……もうそれだけでロマンやん。素敵やん。
もしかしたら古代の王様たちは自らが生きた証を残したかったのかもしれない。みんなの記憶が砂漠に飲み込まれないように……。
これが屈折ピラミッド……確かにぐにゃあって折れ曲がっちゃってるよ。
カイジ的表現やめて。それにしても表面に残る化粧石が見事だね。
あれが化粧板と呼ばれるコーティング剤か。遠くからでもクレオパトラの柔肌のように滑らかってのが伝わってくる。
触れたことないじゃん……ってか絶対に触れさせないけど!本来は他のピラミッドもこんな滑らかな外観だったと考えられてるよ。
まるで炎天下に溶ける生チョコみたいだね。
なお、高さは約105mほどで底辺は約189m、上部は約43度、下部は約54度とのこと。
エジプト旅行でたくさんのピラミッドを見てきたけど、こんな形のものは初めて見た。
最初はエジプトで一番高い王墓になるはずだったんだけど、計画が頓挫しちゃったみたい。
……え?そのまま巨石を積み上げていけば済むんじゃないの?
実は過去にもこの手の高層ピラミッドを作る計画があって実際に完成したんだけど……。
それが崩れちゃったからこのピラミッドも途中で計画変更したってこと?
ご名答!それが今で言うところの崩れピラミッドになっちゃったってわけ。
それで急遽ピラミッドの角度を約11度緩やかにしたのかぁ。
そう考えるともともとピラミッドはオベリスクのようなタワー型の記念碑になるよう設計してたのかもしれないね。
なるほどなるほど、結局はピラミッドもオベリスクもメンズのシンボルも大きさと硬さが重要だったってこ……。
いや、言わせねぇよ!デーツでも食って寝ろ、このおたんこなす!
5.まとめ
今回はエジプトにあるダハシュールの観光情報、赤いピラミッドや屈折ピラミッドの見どころをまとめました。
海外旅行でエジプトを訪れるならダハシュールがおすすめです。中でも赤いピラミッドや屈折ピラミッドは見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。