エジプトの生活を支える砂漠の心臓、それがアスワンハイダムです。ナイル川を堰き止める形で作られたこの場所は同国を代表する超巨大ダムで、世界最大の人造湖であるナセル湖を形成していることでも知られます。そこは「エジプトの母」として崇められている観光スポットです。
今回はエジプトにあるアスワンハイダムの観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ海外旅行の計画にお役立てください。
アスワンハイダムは砂漠とは思えないほどの水量を誇るダム!
この記事では「エジプトにあるアスワンハイダムの観光情報」「ナセル湖や友好記念碑の見どころ」をまとめるよ!
1.アスワンハイダムの概要
まずはアスワンハイダムの概要を見ていきましょう。
- 国:エジプト
- 地域:アスワン
- 特徴:ダム
- 目玉:ナセル湖/友好記念碑
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
アスワンハイダムはナイル川の河口から約900km離れた地点に横たわるロックフィルダムです。ナセル湖と呼ばれる世界最大の人造湖を有することでも知られ、本物の湖と見紛うほどの圧倒的な貯水量を誇ります。まさにエジプトのインフラを支える水源を兼ねた観光スポットです。
その歴史は国家プロジェクトの一環として企画されたのが始まりで、計画は1954年、工事は1960年、完成は1971年と実に20年近くの歳月をかけて作られたダムとなっています。堤高は約111mで堤長は約3,600m、貯水量は1,570億m³……まさに怪物級のダムと言えるでしょう!
なぜ、ここにダムが建設されたのかというとナイル川の氾濫防止や灌漑用水の確保、電力供給の安定が目的だったとされています。ダムが作られる前のナイル川は度々洪水を引き起こし、周辺地域に甚大な被害をもたらしていました。そこにダムができたことで水量の調節が可能となり、災害も回避できるようになったわけです。現在は水力発電も兼ねており、エジプトの心臓と呼ぶに相応しい場所となっています。
ただ、このダムも建設当初は問題が山積みでした。資金面の問題はもちろんダム湖によって水没する約9万人の移住や古代エジプトの遺跡群の保護など、前途多難の状態だったわけです。特にヌビア遺跡のアブシンベル神殿をはじめとする遺跡群は、そのまま水没させる予定だったとか。それに対して国際社会から批判が噴出し、最終的にはユネスコの援助で遺跡の移築が進められたという歴史もあります。
そういった背景もあるからか、観光地としてだけでなくダム建設の課外学習含め、地元民の遠足先としても重宝されています。
エジプトを訪れるならアスワンハイダムは外せないね!
カイロを拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.アスワンハイダムの観光情報
次にアスワンハイダムの観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:15万円~45万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額はエジプト旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料は変動するので直近の情報を調べておくと安心です。
2-2.時間
- 営業時間:8時00分~17時00分(季節で変動あり)
- 所要時間:30分~1時間
- 必要期間:7日~15日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:エジプト/アスワン
- 住所:Manteqet as Sad Al Aali, Qism Aswan, Aswan Governorate 1230952, Egypt
- 行き方:電車/バス/タクシー/レンタカー/ツアー
- 電車:13時間~13時間30分
- バス:13時間~13時間30分
- レンタカー:10時間~10時間30分
- タクシー:20分~30分
- レンタカー:20分~30分
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「カイロ⇒アスワンハイダム」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら飛行機もしくは現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:やや暑くて晴れやすい気候
- 4月~6月:暑くて晴れやすい気候
- 7月~9月:暑くて晴れやすい気候
- 10月~12月:やや暑くて晴れやすい気候
- ベストシーズン:12月/1月~2月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 23℃ | 10℃ | 10mm |
2月 | 26℃ | 12℃ | 0mm |
3月 | 30℃ | 15℃ | 10mm |
4月 | 36℃ | 20℃ | 5mm |
5月 | 40℃ | 24℃ | 5mm |
6月 | 42℃ | 27℃ | 0mm |
7月 | 42℃ | 28℃ | 0mm |
8月 | 42℃ | 28℃ | 0mm |
9月 | 40℃ | 25℃ | 0mm |
10月 | 36℃ | 22℃ | 10mm |
11月 | 30℃ | 16℃ | 5mm |
12月 | 25℃ | 12℃ | 0mm |
2-5.服装
- 1月~3月:体温調節できる服装
- 4月~6月:薄手の服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:歩きやすい靴
2-6.治安
- やや悪い
エジプトは総じて治安が悪く、旅の拠点となるカイロも治安不良です。
2-7.注意点
- 拠点からの立地
- 水中への落下
- 検問の実施
- 水没の危機
2-7-1.拠点からの立地
アスワンハイダムは日帰りでの観光は厳しいです。カイロから片道10時間20分~14時間ほど、往復20時間40分~28時間ほどかかります。観光時間を含めると1日~2日はかかるので、余裕のある日程を組みましょう。
2-7-2.水中への落下
アスワンハイダムはナセル湖を擁するため、水中への落下には気を付けたいです。スマホやカメラを落とすと大変ですし、自分自身が落ちると危険です。興奮して撮影に夢中になったり過度に騒ぎ立てたり暴れ回ったりすると湖に転落するので、湖畔では静かに過ごしましょう。
2-7-3.検問の実施
フーバーダムは出入口で検問が実施されています。このダムは過去にテロの標的にされたこともあり、常に厳戒態勢の警備が敷かれています。観光客・旅行者はほぼスルーなもののアメリカ軍のチェックが入る場合もあるため、検査を求められた際は指示に従いましょう。基本的に軍事施設は撮影も禁止です。
2-7-4.水没の危機
アスワンハイダムはエジプトに多大な恩恵をもたらしたものの強引な歴史もあったとされています。ダム建設によって周辺の集落が水没の危機に瀕し、約9万人のヌビア人が移住を余儀なくされました。それだけでなくエジプト文明で最も重要な遺跡の1つとされるアブシンベル神殿も水没の危機にさらされるなど、一歩間違えれば貴重な神殿が失われていた可能性も否めません。
そういったダム建設の問題と功罪は現在も語り草です。
観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。
Googleマップの口コミを参考にするのもおすすめかも!
3.アスワンハイダムの見どころ
ここからはアスワンハイダムの見どころをまとめます。
3-1.ナセル湖
おすすめ度:
砂漠を潤す命のオアシス。
3-2.友好記念碑
おすすめ度:
砂漠緑化を象徴する塔。
アスワンハイダムはナセル湖や友好記念碑など見どころ満載です。
ここはエジプト革命によって覇権を握ったナセル大統領によって建設されたダムで、ダム湖であるナセル湖の名称も彼の名前から来ています。彼はスエズ運河の国有化にも着手した人物として知られており、エジプト現代文明を加速させた功労者でもあります。
ただ、野心家が災いして西洋諸国の反感を買うなど、破天荒な大統領だったことでも知られています。そんなナセル大統領の功績を称えたナセル湖は必見と言えるでしょう。目の前が砂漠であることを忘れてしまうほど圧倒的な水量には、誰もが目を疑ってしまうはず。川を覆うように両手を広げたダムのスケール感にも気圧されるほどです。
加えて、ダムに寄り添うように建てられている友好記念塔も見逃せません。これは砂漠の緑化に成功したことを記念するもので、当時のソ連との友好を示した記念碑でもあります。そのユニークなデザインはさながら古代のオーパーツ……見応え抜群です!
アスワンハイダムではナセル湖と友好記念碑が目玉!
個人的には砂漠の中とは思えないほどの水をたたえるナセル湖がおすすめ!
4.アスワンハイダムの体験談
最後に管理人が2017年11月に訪れたアスワンハイダムの体験談を記しておきます。等身大の海外旅行記としてお楽しみください。
アスワンハイダムに到着!砂漠の国だってのに水平線が肉眼で確認できるくらい水がたっぷり。
ここは言うなればエジプトの心臓。この水がなければエジプトの人々は干上がっちゃう。
過酷な砂漠で生きてくにはこの規模のダムが必要なんだね。
これはもう砂漠のオアシスというより湖そのものだよ。
その神々しい姿から一部で「エジプトの母」とも呼ばれてるとか。
「エジプトの母」って……どっかの占い師みたい。
なんで占い師って母親になりたがるんだろうね?
「母性ある」アピールじゃない?よくわかんないけど。
ちなみに、このダム湖はナセル湖と呼ばれてて世界最大の人工湖でもあるんだってさ。
まさに現代エジプトの生命線ってわけか。確かに光を纏った紺碧の湖面からは生命力のようなものを感じるね!
砂漠のど真ん中だってのに涼しげな風が全身を吹き抜けてくね……ずっと砂を浴びてたから気持ち良いや!
古代遺跡ばかり見てたからか、目の前の青にただただ癒される!
それにしても砂漠の中に忽然と姿を現すんだもの。最初は蜃気楼でも見てるのかと思ったよ。
古代エジプト人がこのダムを見たら、水の化身でもあるネイト様の存在を信じずにはいられないだろうね。
ネイト様ってエジプト神話の原初の水を擬人化した存在とされるあの創世の母神のこと?
そうそう。アスワンハイダムはまさにそのネイト様の母性を感じる。エジプトにとってはそれくらい大切な場所。
ダムの上には緑もこんなに溢れてる。本当に砂漠の中なのかと疑っちゃうほど緑たっぷり!
ここは砂漠の緑化に成功した数少ない事例としても知られてるみたい。
だからこんなにも草木が青々としているんだね。あっちに見える記念塔もその象徴か何か?
あれはソ連との友好記念碑。5つの柱と王冠を模した輪が1つで、自然の脅威に勝利した証なんだとか。
あの国ってエジプトとの繋がりもあったんだね。
むしろ昔のエジプトはそっち寄りだったよ。それもあって当時のアメリカと色々あったんだけど、それはまた別のお話。
今は砂漠化を止めた奇跡のダムとして崇められてるって事実だけで十分。
うん!その勝利にダムの水で乾杯しよう!きっと今日はエジプト神話で“原初の水”とされるヌン様も許してくれるはず。
写真を撮ってたら地元の子供たちも集まってきた!遠足か何かかな?
カメラを持ってると「撮って撮って」とツンツンしてくる。
この子たちの生活もアスワンハイダムが支えてると思うと感慨深いな。
エジプトには無数の神様がいるけど、ここナセル湖こそ現代の水の神なのかもしれない。
時代に合わせて神様も姿形を変える。僕らもアスワンハイダムには感謝しないと!
水は生命の源……これからも水に感謝して生きていこう。
5.まとめ
今回はエジプトにあるアスワンハイダムの観光情報、ナセル湖や友好記念碑の見どころをまとめました。
海外旅行でエジプトを訪れるならアスワンハイダムがおすすめです。中でもナセル湖や友好記念碑は見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。