エジプトを語る上で外せない古代の埋葬地、それがサッカラです。この地にはナイル川を中心に栄華を誇った古代エジプトの王墓群が眠っており、メンフィス博物館や階段ピラミッドなど希有なネクロポリスが沈んでいます。そこは古王国時代の伝承が伝わる観光スポットです。
今回はエジプトにあるサッカラの観光情報をまとめます。ここでは概要・予算・時間・場所・気候・服装・治安・注意点の他、実際に訪れた管理人が厳選した見どころも紹介します。記事の最後には体験談もあるので、ぜひ海外旅行の計画にお役立てください。
サッカラはメンフィスに寄り添う世界遺産!
この記事では「エジプトにあるサッカラの観光情報」「メンフィス博物館や階段ピラミッドの見どころ」をまとめるよ!
1.サッカラの概要
まずはサッカラの概要を見ていきましょう。
- 国:エジプト
- 地域:サッカラ
- 特徴:世界遺産/遺跡
- 目玉:メンフィス博物館/階段ピラミッド
- 方法:個人/ツアー
- おすすめ度:
サッカラはナイル川西岸に残る古代エジプトの王墓群で、首都カイロから南にやや外れた地域一帯に広がる世界遺産です。世界遺産のギザの三大ピラミッドと一緒に登録されており、今なお眠る古代王との対話が待つ観光スポットとして知られています。
エジプトでは「ピラミッド=ギザ」が象徴となっているものの、実はメンフィスやサッカラを含む地域一帯も複合遺産として登録されているのが特徴です。“死者の町”ネクロポリスには雄大な王墓群が形成され、サッカラでもメンフィス博物館をはじめ不思議な構造を持つ階段ピラミッドが公開されています。
階段ピラミッドは古代エジプト第3王朝のジェセル王のもので、世界で最初のピラミッドとされています。他にも古代エジプト第3王朝~第5王朝に君臨した約16人のファラオが眠る王墓も見つかり、併せて富裕層が埋葬されたマスタバも確認されたそうです。まさにこの地域一帯が巨大なピラミッド複合体を構成していると言えるでしょう。
他にも数千年前の棺桶や財宝が発見されるなど、サッカラは数世代にわたる王墓が残る希少なネクロポリスとなります。なお、2020年には約2500年前に埋葬された100基以上の木棺も見つかったとのこと。
例えるなら陽のギザと陰のサッカラ、そして古のメンフィス……このすべてが古代エジプトの歴史を伝承する世界遺産なのです。
エジプトを訪れるならサッカラは外せないね!
カイロを拠点にするなら個人で行くのもツアーで行くのもおすすめだよ!
2.サッカラの観光情報
次にサッカラの観光情報を見ていきましょう。
2-1.予算
- 個人:数千円~1万円
- ツアー:1万円~3万円
- 予算総額:15万円~45万円
個人は自分での手配、ツアーは旅行会社での代行、予算総額はエジプト旅行全体(移動費・宿泊費・飲食費・観光費)にかかる目安となります。入場料は変動するので直近の情報を調べておくと安心です。
2-2.時間
- 営業時間
⇒町:24時間
⇒階段ピラミッド:8時00分~18時00分(季節で変動あり) - 所要時間:2時間~3時間
- 必要期間:7日~15日
営業時間は開店から閉店、所要時間は到着から出発、必要期間は出国から帰国までにかかる目安となります。
2-3.場所
- 場所:エジプト/サッカラ
- 住所:Saqqara, Egypt
- 行き方:タクシー/レンタカー/ツアー
- タクシー:30分~1時間
- レンタカー:30分~1時間
場所と住所は所在地の目安となります。行き方は「カイロ⇒サッカラ」への一例であり、他の方法でもアクセスできます。直接向かうなら現地発着のツアーがおすすめです。
2-4.気候
- 1月~3月:やや暑くて晴れやすい気候
- 4月~6月:暑くて晴れやすい気候
- 7月~9月:暑くて晴れやすい気候
- 10月~12月:やや暑くて晴れやすい気候
- ベストシーズン:2月~4月/11月~12月
平均 | 最高気温 | 最低気温 | 降水量 |
1月 | 19℃ | 10℃ | 5mm |
2月 | 21℃ | 11℃ | 5mm |
3月 | 24℃ | 13℃ | 5mm |
4月 | 29℃ | 16℃ | 0mm |
5月 | 33℃ | 19℃ | 0mm |
6月 | 35℃ | 22℃ | 0mm |
7月 | 35℃ | 23℃ | 0mm |
8月 | 35℃ | 24℃ | 0mm |
9月 | 34℃ | 22℃ | 0mm |
10月 | 30℃ | 19℃ | 0mm |
11月 | 25℃ | 15℃ | 5mm |
12月 | 21℃ | 11℃ | 5mm |
2-5.服装
- 1月~3月:体温調節できる服装
- 4月~6月:薄手の服装
- 7月~9月:薄手の服装
- 10月~12月:体温調節できる服装
- 持ち物:入場チケット/歩きやすい靴
2-6.治安
- やや悪い
エジプトは総じて治安が悪く、旅の拠点となるカイロも治安不良です。
2-7.注意点
- 事前の勉強
- 遺跡の保存状態
- 遺跡への接触
- 迷惑な行商人
2-7-1.事前の勉強
サッカラは事前に勉強しないと魅力が半減してしまうかもしれません。逆に古代エジプトに関する情報を頭に入れておくことで遺跡に秘められたドラマも見えてくるため、背景を学んでから訪れてみてください。
2-7-2.遺跡の保存状態
サッカラは遺跡の保存状態が完璧ではありません。時代の流れで失われてしまった部分もある他、雑な発掘作業で壊されてしまった部分もあります。そのため、完全な状態で保管されているわけではないことを念頭に置いておいてください。
2-7-3.遺跡への接触
サッカラは希少な遺跡が残っているため、遺跡への接触には気を付けたいです。遺跡内には貴重な歴史や文化を紐解く遺物も収蔵されており、古代遺跡の財宝や出土品も展示されています。当然ながら許可なく触れたり傷つけたりしてはいけません。
2-7-4.迷惑な行商人
サッカラに限らず、エジプトの主要な観光地には迷惑な行商人が跋扈しています。強引な物売りや執拗な客引きも横行しており、現場はやりたい放題の無法地帯と化しています。お人好しの日本人ほど押し売りやぼったくりの被害に遭いやすいので、明確な意思表示を忘れずに。
観光情報は変更となる場合があることを加味しておきたいね。
Googleマップの口コミを参考にするのもおすすめかも!
3.サッカラの見どころ
ここからはサッカラの見どころをまとめます。
3-1.メンフィス博物館
おすすめ度:
ラムセス2世の像。
3-2.階段ピラミッド
おすすめ度:
世界最古のピラミッド。
3-3.地下室
おすすめ度:
深淵へと誘うマスタバ。
サッカラはメンフィス博物館や階段ピラミッド、地下室など見どころ満載です。
ラムセス2世の巨像で知られるメンフィス博物館は古代文明の遺産を展示している場所で、細部までこだわり抜いて作られた巨像が横たわる博物館です。スフィンクスやレリーフを置いた野外博物館も併設されているなど、古代エジプトを語る上で欠かせない場所となります。遥かな砂の国との邂逅には血沸き肉踊ること間違いなしでしょう!
それだけでなく、世界遺産のピラミッドも見どころ満載です。サッカラでは史上初とされる階段ピラミッドなど、ギザの三大ピラミッドとは性質の違う王墓が出土しています。
階段ピラミッドは古代エジプト第3王朝のジェセル王がイムホテプに建設させた王墓で、6層の階段状となっているのが特徴です。この構造は王が天に昇るためのものであり、他にもマスタバ状の王墓には深さ約28mの地下室、遺体を安置する玄室、その他の部屋や回廊が張り巡らされています。他の王墓と比べてもその構造は特殊で、完成までに5回ほどの変更が加えられたとか。それにより正方形にするはずが長方形になってしまうなど、構造の珍しさも魅力と言えるでしょう。
サッカラは歴史的にも文化的にもレアな遺跡が残るネクロポリス、数々の古代遺跡が現存する古代エジプトのベッドタウンです。数千年の時空を超えて蘇る古代からの贈り物には熱いパトスを抱かずにはいられません。
サッカラではメンフィス博物館と階段ピラミッド、地下室が目玉!
個人的にはラムセス2世像を展示してるメンフィス博物館がおすすめ!
4.サッカラの体験談
最後に管理人が2017年11月に訪れたサッカラの体験談を記しておきます。等身大の海外旅行記としてお楽しみください。
サッカラに到着!早速、アラバスター製の手乗りスフィンクスがお出迎え。
ここはメンフィス博物館……あのラムセス2世の巨像で知られている場所だよ。
このスフィンクスもその展示品の1つなのね。いわゆる野外博物館って感じかな。
むしろ館内はラムセス2世像だけで他の像は野外に展示されてるよ。
このスフィンクスも約10mあるんだってね。その奥には縁日のようなお土産屋が並んでる。
エジプトでは観光客が訪れるようなところにはほぼ確実にこの手のギフトショップがあるからねぇ。
ぼったくられそうな空気がプンプンするぜぇ……もう完全に物売り&客引き恐怖症になっちゃったよ。
全員が全員そうとは限らないけど、声をかけてくる行商人は息を吸うように嘘を吐くから気を付けて。
館内では全長15mにも及ぶラムセス2世の巨像が休日を満喫中……保存状態も極めて良好だね。
1階だと真横からしか拝めないけど2階の回廊からだと真上から眺められるよ。
ガイドさん曰く、この巨像は細部まで精巧に彫られてるとのこと。
確かに逞しい筋肉や浮き出た血管、乳首から指先の爪に至るまで緻密に刻まれてる。
エジプトに古代の巨像は数あれど、ここまで微細かつ美麗な像は珍しいらしいよ。
掘り込まれた彫刻からは職人の魂が伝わってくるね。こんな古代からの贈り物を現代で見られるなんて……。
あまり期待してなかったけど、メンフィス博物館……素晴らしい場所じゃない!
ちなみに、周辺にはメンフィスで信仰された創造神プタハを祀る神殿跡の他、サッカラ以外のネクロポリスも発見されてるとか。
メンフィスはネクロポリスの宝庫だね。まだまだ未発見の遺跡もありそうでワクワクするよ。
地下式墳墓のプタハ神殿には聖牛アピスのミイラを製造するための解剖台もあるから、併せてチェキ。
……な、なんだこの極太で巨大な石柱は!古代エジプト人は巨人の一族でもあったのかな?
ここは階段ピラミッドの葬祭殿。周辺の遺跡と併せてピラミッドコンプレックスと呼ばれる場所。
僕も劣等感の塊……常にコンプレックスをこじらせてるから、いつかこんなピラミッドも作れたりして。
そっちのコンプレックスじゃない。神殿や倉庫を含めた“複合体”って意味の言葉だよ。
それにしても重機もない時代にこんな巨大建造物を作るなんて……イムホテプ、恐るべし。
イムホテプは古代エジプトの高級神官……重臣や宰相としてだけでなく優れた建築家や医者としても名を馳せた人物だったとか。
階段ピラミッドを含めこの地域一帯のネクロポリスを作っちゃうあたり、やることの次元が違うね。
異次元の建築様式を持つピラミッドという意味では、ここサッカラの王墓は超次元の遺跡と言えるかも。
葬祭殿の向こうは大砂原の海でした……みんなが踏んでできた小さな砂丘はさながら波打つ水面のよう。
砂漠の砂はさらさらってよりふわふわ。足が飲み込まれてくぅ。
まるで砂の絨毯だね。陥没した穴に吸い込まれて地下世界に落ちちゃいそうな……。
「風の谷のナウシカ」じゃないんだからぁ……たぶん大丈夫だよ。
でも、この広大な砂漠の下に未だ発見されていない未知の遺跡があるとしたら?
流砂に沈んだ遺跡に落っこちる可能性もある。その先に伝説の砂の都が待ってるかもしれない。
これが世界最古のピラミッド、ジェセル王の階段ピラミッドか!
高さ約62m、東西で約125m、南北で約109mという歪なピラミッドだよ。
それにしてもなぜ元来の正方形ではなく、特殊な長方形で設計しちゃったんだろうね。
もともとは初期王朝時代から見られる正方形のマスタバにする予定だったのよ。
ふむふむ……そもそもさっきから何回か登場してるけど、マスタバって何ぞや?
マスタバは古代エジプトで古くから建設されてきた大きな墓地のことだよ。
つまりここはもともと大規模な墓地にする予定だったってことね。
そうそう。実際に一辺が約63mのピラミッドとして建設する予定だったのさ。
でも、建築を任されたイムホテプが計画を途中で変更しちゃった……ってこと?
どうやら度重なる拡張工事をしていたところ、結果的に長方形の墓地になっちゃってたみたい。
イムホテプまさかのうっかりさん!でも、建築へのこだわりは相当強い人だったんだろうね!すごいよイムホテプ。
もうイムホテプって言いたいだけ……そもそもここはジェセル王のピラミッドだから!
なお、現在は修復中なものの修理は難航してるとのこと……くぅ!現代にイムホテプさえいれば!
階段ピラミッドは脆い岩でできてるから定期的な修繕が必要なんだってさ。
ネクロポリスには暗闇へと続く無限回廊もあったよ。これ全部石造りって……イムホテプ、やば。
階段ピラミッドの王墓群は数あるピラミッド複合体の中でも後代の建築様式と異なるみたい。
確かにこんな気が遠くなるようなものを作るんだから、もう変態の領域だよね。
遺跡全体を石造りで建造するという方法そのものが当時は異質。
石で作るという方法そのものが当時は珍しかったんだ。
イムホテプは世界で初めて石製の建造物を手掛けた建築士と言われてたとか。
つまり、彼がいなかったらこの王墓は存在しなかったのか。
実はそれ以前にも石造りの建造物はあったみたいなんだけどそれはまた別の話。
夕焼けに包まれるネクロポリス……イムホテプのおかげで素敵な時間を過ごせたよ。
薄暗さに飲み込まれてゆく遺跡も幻想的だね。こんな神秘的な遺跡は他にないかも。
ノスタルジックな風景を眺めてると職人たちの息遣いまで聞こえてくる気がする。
歴史という名の流砂に沈んだ遺跡はロマンで埋め尽くされてる。
エジプトの王墓群はギザやダハシュールばかりが注目されがちだけど、サッカラも一度訪れるべきだと思う。
数千年取り残されたこの場所をもっと目に焼き付けていたいところだけど、エジプト旅はまだまだ続く!
心に深く刻んでおこう……ジェセル王とイムホテプの名を!
もしかしたら数年後数十年後は他の王墓も見つかってるかもしれない。それもまたロマンだよね。
……古代エジプトのロマンは際限ない砂漠の如し。
いつかきっとまた見に訪れよう。そしてエジプト中のピラミッドを巡る壮大な大冒険に出よう。
……待って!良い感じに締めようと思ってたけど、何か聞こえる!心臓の奥まで響く「ヤマモトヤマァ」という謎の呪文が!
たまに「ヤマモトリンダァ」や「ヤマモトジョージィ」になるのが不気味。
振り返るとそこには不敵に笑う商人の姿が……い、一体なんだって言うんだっ!
「ニホンジンカネモチィ♪」と歌いながら迫ってきた……怖い!これは新手の強盗かな?
「いやいや貧乏だよ」と返すとさらに「オォー♪ビンボビンボォー♪」って歌い出したよ。
「オォー♪シャンゼリゼェ♪」みたいに言うな!……本当、エジプト人大好き♡
5.まとめ
今回はエジプトにあるサッカラの観光情報、メンフィス博物館や階段ピラミッドの見どころをまとめました。
海外旅行でエジプトを訪れるならサッカラがおすすめです。中でもメンフィス博物館や階段ピラミッドは見どころ満載なので、機会があればぜひ訪れてみてください。